7月

平成29年度  雨 も ま た よ し

 梅雨空が広がり、ジメジメとした暑い日が続いています。カラッと晴れわたった5月の後だから、よけいにうっとうしく、気持ちまで下がってしまう時期です。
 一方で、梅雨がもたらす雨は、山の木々を潤し、大地に蓄えられ、大切な飲み水や農業、工業の用水として使われてきました。また、雨にぬれた木々は、緑を一層濃くし、生き生きと枝を広げていきます。
 昔から日本人は、この梅雨の時期に楽しみを見つけて豊かに生活してきました。一つは俳句です。
 梅雨晴れや蜩(ひぐらし)鳴くと書く日記
正岡子規
 梅雨の晴れ間にひぐらしが鳴いています。雨が続く中で一瞬の晴れ間をとらえて鳴く日暮らしの声が、梅雨の終わりが近く夏の訪れを知らせてくれている、そんな意味の俳句です。このほかにも、季節を詠んだ素晴らしい俳句があります。
 また、雨が降ると、図書館でゆっくり本を読めるということもあります。本は、心を豊かにし、外の雨音を忘れてしまうような、素晴らしい世界へといざなってくれます。
 食の文化でいえば、梅を洗って梅酒をつけるなど、この時期ならではの食の楽しみがあります。気温が変わりやすく体調が崩れやすい時期だからこそ、疲れが取れやすい食べ物や体の冷えをなくすような食べ物など知恵をはたらかせて、献立を工夫してきました。
知識や技能が重視されがちな現代ですが、日本人が生活の中で紡ぎ出した知恵は、素晴らしいものです。
 さて、私たちの毎日にも、梅雨のようになんとなく気分晴れなくて、うまくいかないことが多い時期が誰しもあります。そんなときに、「雨もまたよし」と思い、生活の知恵をはたらかせ、発想をかえて過ごしたいものです。雨の後には、夏の日差しが来ると信じて楽しみたいものです。人生の経験が深い人と話したり、普段しないことをしたりして気分をかえてみることも大切です。
 子供たちは素晴らしいです。雨の多いこの時期でも、とても元気です。生活の中での楽しみを見つけて、過ごしています。梅雨は、もしかしたら、落ち着いて知恵をはたからせて生活し、子供たち一人一人が内面の成長をしている時期ではないでしょうか。
 「雨もまたよし」です。

H28年度 学びについて考える

 「先生、ヤゴがトンボにかえった。」担任や理科の先生を呼びにきて、3年生のオープンでは朝から子供たちが大興奮。実は、水泳の学習が始まる前に、たくさんのヤゴをプールから救出しました。そのヤゴを3年生が理科の学習で育ててくれて、それがトンボになって朝から飛んでいるのです。この時期になると、「カタツムリを見つけたよ。」と話す子供や、うれしそうに手の中にダンゴムシをもって登校する子供がいます。身の回りの自然からいろいろなものを見つけてきては、友達に教えてくれる子がいました。どこからかカブトムシを見つけて教室に持ってきてくれる子供もいました。そうした生き物を大事に育てる中で、友達とかかわり、教師とかかわり、わくわくしながら学んだことを覚えています。きっとこの3年生も振り返ったときに、「朝学校に行くと教室にトンボが飛んでいて・・・。」などと、思い返すことでしょう。

 学力調査が取りざたされ、平均点でものが論じられるようになってきた頃から、机に向かっての学習、点数を価値観とした学習が重視されるようになって
きました。「速く」「正確に」できることが評価され、
本来の学びのもつ発見する喜びや、自分からかかわる楽しさが減ってきたように思います。もちろん、いろいろなことを覚え、速く正確にできることも大事ですが、その中で、学習だけでなく自分に自信を無くす子供たちも見られるようになってきました。

 子供たちは変わっていないのに、大人社会が忙しくなり、急行列車に乗る毎日の中で、急いで育てようとして、待てなくなってはいないでしょうか。間違わないように、迷惑をかけないようにと気にして、大人自身がゆとりもって子供たちを育てるのが難しい時代です。子供たちを追い立て、心が傷つく叱り方はしていないでしょうか。本来もつ子供の好奇心に応えているでしょうか。
 学校運営協議会で理科の学習が話題になったときに、高井戸小の卒業生の方から、「昔は、よく神田川で遊んだ。あそこにはドジョウやザリガニ、いろいろな生き物がいて・・・。」と、生き生きとした話がありました。50年以上経っても消えない学びです。

 一緒にトンボを追いかけ、生き生きと子供たちとかかわる教師を前に、改めて学びについて、子供とのかかわりについて考えさせられました。小学校時代だからこその学び、豊かな学びの力を、子供たちの思いを受け止めて、じっくりとかかわり育てていきたいと思います。

H27年度 小さな親切  やさしい心が育つ学校

 先日、地域の方が、ぜひ伝えたいとてもうれしい話があるといって訪ねてくださり、居合わせた教員にこんな話をしてくださいました。その方が、土の入った鉢をもって歩いていて落としてしまったときのことです。下校途中の子供たちがすぐに駆け寄ってきて、手が汚れるのにもかかわらず、土を拾って鉢に戻してくれたのだそうです。お礼を言いたくて名前を聞いたところ、名乗りません。学校の名前だけでも教えてほしいと言ったところ、「高井戸小学校」とだけ答えて帰って行ったそうです。この出来事にはおまけがあります。その方が、その話を伝えに学校に来てくださり、教員とその教員を訪ねてきていた地域の中学校に通う卒業生に話してくださった時のことです。その卒業生が一緒に話を聞いたあと、「高井戸小学校では当たり前のことです。」とその方にいってくれたそうです。その話を聞いた教員がぜひ、全校に紹介してほしいと報告してくれました。本当にうれしい話です。子供たちの心の中に、困っている人がいたら、手をさしのべることは高井戸小学校では当たり前のことだと、そして、何気ない親切な行動ができることは、素晴らしいことです。

 科学が進歩し便利な世の中になった反面、社会が大きく変化して人間関係が希薄化し、様々な問題が起こっています。時に自分さえよければといった風潮も感じられる現代です。
 しかし、そんな中にあっても大事なことは変わりません。困っている人がいたら手をさしのべる小さな親切の大切さです。この高井戸小学校と高井戸の地域で育つ中で、子供たち一人一人の心にこうした素直な優しさが育ってくれていることを本当にうれしく思います。これは、子供たちの良さをみとめてよい行動を褒めてくださるこの高井戸の地域の風土の素晴らしさや、保護者の皆様の温かな気持ちのおかげです。子供たちは、時にはケンカをして、相手を傷つけることもあります。しかし、あたたかな地域の人たちの中で子供たち一人一人の心の中には、確実にこうした優しい気持ちが育っています。

 先日5年生と富士学園移動教室に行ってきました。本校では1日目に高座山に登ります。高座山は、急な斜面を一気に登っていきます。5年生の子供たちは、「もうすぐだからがんばれ」と互いに声を掛け全員で登り切りました。また、下りでは、子供同士で「こっちの方がよい」とアドバイスしたり、手を取って助けてあげたりしていました。これからも、相手を思う小さな親切を大切にしていきたいと思います。

H26年度 高井戸小学校の特別支援教育と小中一貫教育

中学生の職場体験学習あいさつ
 6月の学校公開には、950名を超える多くの保護者・地域の皆様にご参観いただき、感謝申し上げます。

 本校では、特別支援教育を「教師や大人が少し支援することで学校生活や学習が自分で進めやすくなるそのための支援を行うこと」ととらえています。そのため、通常学級支援員や介助ボランティアが必要な子のところへ行き、個別の学習サポート、道具の出し入れや教室移動などの手伝いなどをしています。また、学習指導教員が週2日来校し、学習につまずいたり自信がもてなかったりする子に、特に算数を中心に個別指導をしています。個別の学習でできるようになった時には、子供たちは素晴らしい表情をします。ちょっとの支援が子供たちの自信を変えていきます。
 一人一人は、成長するスピードも違うし得意なことも違います。しかし、学校では、同じ環境の中で同じ内容を集団で学習していかなくてはなりません。差別ではなく、違いを認め合い、困っているところに支援をすることを大事にし、今後も取り組んでいきます。

 杉並区では、小中一貫教育を重点にして義務教育9年間の教育の充実を図っています。本校は、学区域が広く、富士見ヶ丘中学校、高井戸中学校、宮前中学校、松渓中学校の4つの中学校に進学します。そこで、本校の小中一貫教育は、どの中学校に進学しても、自信をもって活躍できる確かな学力、リーダーシップ、表現力を育てていくこととし考えています。そのため、中学校の内容を視野に入れてしっかりと力をつけるために、ノート指導や授業中の発表、グループでの学習を充実させています。また、ノーチャイムによる自律的行動もできるようにしています。
 実際の中学生との交流は富士見ヶ丘中学校と行っていますが、地域の連携の中で、高井戸中学校のコンサートにも参加したり、宮前中学校の遊び市にも参加させてもらったりしています。多くの学校と関わりつながることも大事な小中一貫教育と考えています。

 特別支援教育も小中一貫教育も一人一人の子供に、しっかりとした学力と自信をつけていく教育です。今後も、充実した取り組みを大切にしていきます。

校長 鶴巻景子