給食前のひととき、校長室での会議の合間に、ふと扉が開きました。
そこに立っていたのは、エプロンと三角巾を身に付けた5年生の子どもたち。
「ほうれん草のおひたしを作ったので、校長先生、ぜひ食べてください!」
その一言に、場の空気がふっとやわらぎました。
差し出された一皿には、きれいに整えられたほうれん草とかつお節。醤油の香りがほんのりと漂います。聞けば、味付けも自分たちで考えて仕上げたとのこと。
ひと口いただくと、やさしい味わいの中に、丁寧に作られたことが伝わってきました。
調理の時間は、単に「作る技術」を学ぶだけの時間ではありません。どんな味にしようか、どのくらいの量がちょうどいいか、友達と相談しながら試していく。その過程の中で、子どもたちは自然と考え、選び、確かめています。
そして、今回の出来事で印象的だったのは、その先の行動です。自分たちで作ったものを「誰かに届けたい」と思い、実際に持ってきてくれたこと。その一歩には、学びがぐっと広がる力があります。
「お裾分けをしよう」と思ったのか、「食べてほしい」と思ったのか、その気持ちのきっかけは分かりません。でも、誰かを思い浮かべて行動に移したこと、その事実が何よりも大切だと感じています。
学びは教室の中で完結するものではなく、人と人とのつながりの中で広がっていくものです。
今日の一皿は、そんなつながりのあたたかさを感じさせてくれました。
これからも、子どもたちの「やってみたい」「届けてみたい」という思いが、自然と広がっていく学校でありたいと思います。

