平成29年度

学 校 経 営 方 針 概 要
杉並区立荻窪小学校 校長 西脇 裕高

 
 平成29年度は、荻窪小学校が66周年となり、宮前の地に、「まるごとエコスクール」として移転し、9年目を迎えます。また、「共に学び 共に支え 共に創る 杉並区の教育」(杉並区教育ビジョン2012)の理念の下、「児童、保護者、地域住民等区民から信頼され、愛される、魅力のある学校」を目指し、地域運営学校(コミュニティ・スクール)の指定を受けて、5年目となります。本校は、「共に学び、共に創る、未来志向」のスローガンの下、創造的な学校経営を行い、本校の教育目標である「深く考える子ども、美しい心の子ども、たくましく生きる子ども」の実現を図っていきます。
 
 荻窪小学校の校章は「サクラソウ」です。子供たちの胸に輝く校章は、荻小の歴史と伝統、そして、荻小の一員としての誇りです。教職員も、荻小で働くことや自分の職務に誇りをもち、服務規律を守ると共に、未来志向で教育を創造し、サクラソウのような美しくたくましい子供が育つように、誠心誠意努力していきます。29年度は、杉並区幼保小連携推進校、東京都道徳教育推進拠点校の2年目として、また、特別支援教室開設の初年度として、以下の4点を重点に、学校経営を推進していきます。
 
1 心を育てる
「特別の教科 道徳」を核とした、ヒューマン・ディグニティ教育を推進します。
 
 東京都道徳教育推進拠点校として、①「特別の教科 道徳」の年間指導計画に従い、年間35時間(第1学年は34時間)、内容項目(低学年19、中学年20、高学年22)を網羅した道徳授業を全学級で実践すること。②ねらいを明確にして、より深く考え、話し合いをする授業をめざし、道徳の授業の質的改善を図ること。③保護者、地域の皆様にも、「特別の教科 道徳」について知っていただき、一緒に道徳教育を推進していくこと。これら3点を重点に、校内研究に位置付けて、学校全体で取り組んできました。今年度は、東京都道徳教育推進拠点校の2年目となります。平成30年度の「特別の教科 道徳」本格実施に向けて、「考え、話し合う授業」の指導法や年間指導計画のブラッシュアップを図ります。また、指導と評価の一体化を図り、通知表への評価の先駆的な実践を行っていきます。「親子道徳の日」を設けて、保護者と児童が一緒に道徳について考え、学校と家庭が連携して道徳教育に取り組んでいきます。平成30年2月24日には、道徳授業地区公開講座と兼ねて、拠点校報告会を実施します。
 また、道徳教育は、道徳の時間だけでなく全教育活動の中で実践していくものです。これまで通り、いじめや不登校が起こりにくい学校、また早期発見、早期解決ができる学校を目指して、思いやりや美しい心をもった子供を育てます。また、各教科等の授業、学級経営、地域や家庭との連携の中で、ヒューマン・ディグニティ(人間の尊厳)に関わる取組を意識し、意図的計画的に教育活動を行っていきます。
 
 ヒューマン・ディグニティ(人間の尊厳)の縦軸は、ESD(持続可能な社会を目指す教育)です。今生きる人間さえよければよいのではなく、未来に生きる人間を思いやり今何ができるのかを考え、行動する人を育てます。また、横軸はグローバル社会を生きる人間の共存です。人権感覚を高くもち、話し合いや協働によって平和的に様々な問題を解決できる人を育てます。また、ヒューマン・ディグニティは、自尊感情(自己評価・自己受容、関係の中での自己、自己主張・自己決定)と深い関係があります。自尊感情を発達段階に応じてよりよく育むことによって人権感覚が磨かれ、自分の人権を守り、相手の人権を守ろうとする意識・意欲・態度につなげていくことができます。
 
 校内での具体的な取組としては、授業や学級経営、学校行事等による異校種間交流や異学年交流の実践、体験活動、専門家に触れる授業等を展開していきます。また、学校いじめ防止基本方針・全体計画を基に、「いじめ防止教育プログラム」を学級の実態に合わせて質を高め、全学級で実施すると共に、児童に心のアンケートや特別相談週間を繰り返し実施し、児童の気持ちを理解し寄り添う活動を行っていきます。また、いじめ問題に対応するために教職員の研修を実施していきます。いじめ対策委員会を機能させ、いじめの認知やいじめ問題に対して組織的な対応を行うと共に、生活指導部や特別活動部と連携し、引き続き「人権標語、なかよし班活動、ふりかえりアンケート、思いやり週間」等を実施し、子供自身がいじめのない学級・学校・社会を創っていけるように、他者を認めるしなやかさと、素直に自分の気持ちを伝える力の育成を図っていきます。加えて、オリンピック・パラリンピック教育を推進し、障がいのある人への理解を深め、共生社会の実現や国際社会の平和や発展や貢献について、考えていきます。
 
2 一人一人を大切に
特別支援教育の理解に努め、特別支援教室「すまいる教室」を軌道に乗せます。
 
 今年度、高四小エリアでの、新たな特別支援教室が開設され、荻小「すまいる教室」が開室します。保護者が学校に利用を申し込み、校内委員会で支援レベルを協議し、校長が教育委員会に利用申請し、判定会によって決定される手続きとなります。特別支援教室で学習する児童が差別や嫌な思いをすることがないように、配慮すると共に、特別支援教室の意義や指導内容を、保護者や地域の皆様に確かな理解をしていただけるよう、説明と情報提供に努めていきます。また、一人一人を大切に、全ての子供たちにとって、居心地のよい学級・学校となるように体制を整え、支援レベル1(学級内配慮)・レベル2(学級内支援)・レベル3(学級外個別支援)に応じた対応・指導を行います。校内委員会を機能させ、特別支援教育コーディネーターを中心とし、特別支援教室専門員、スクールカウンセラー、区教委の教育支援チーム、拠点校からの指導教員、学習支援教員、通常学級支援員、介助ボランティア等と連携し、特別支援教育を推進していきます。
 
3 つながりを活かす
新学習指導要領を見据えた授業、及び小中一貫教育・幼保小連携教育を行います。
 
 3月に新学習指導要領の告示がされ、平成30年度から移行措置が始まり、32年度に小学校完全実施のロードマップが示されています。示された内容を積極的に学び、理解し実践するような、成長する教師像が求められています。「主体的・対話的で深い学びの実現」を意識し、ねらいを明確にもった授業を展開していきます。29年度もグループである宮前中学校、久我山小学校、荻窪小学校の3校で、「かかわり、つながり」を重視し、共に学び合う意識をもって小中一貫教育を一層推進していきます。また、義務教育9年間の視野に立った連続性や系統性のある各教科の指導、生活指導、交流(作品交流を含む)等を充実させます。
また、幼保小連携推進校の2年目として、スタートカリキュラムを改善実施するとともに、宮前保育園、荻窪保育園、近隣保育園との交流ならびに幼保小の連携についての研修を行っていきます。
 
4 広い目を育てる
環境教育を継続、発展させます。
 
 エコスクールの使命として、「自分さえよければ、今さえよければ」という考えでなく、環境教育を「生き方教育」として捉え、生涯に渡って地球環境を守り、持続可能な社会を意識して自ら考え行動できる子供を育てます。日本建築学会や学校支援本部と連携しながら、子供たちが環境学習で学んだことを実生活に生かすことができるように環境学習プログラムを改善します。また、学校ビオトープを、さらに子供たちにとって身近で魅力的な学習教材に発展させていきます。29年度も区の環境課と連携し、小中学生環境サミットに参加していきます。
 
 地域運営学校(CS)や学校支援本部は、学校の限界を教育の限界とせずに、児童に質の高い教育を提供し、それを継続させるための仕組みです。地域の中にある学校を意識し、学校と地域の人たちとのつながりを大切にする気持ちが重要です。「共有と創造」を意識し、コミュニティ・スクールである利点を最大限に生かし、「オール荻窪」体制で、児童・保護者・地域の誇りである荻窪小学校を創り上げていきます。