令和2年度 園便り

11月 心の育ちに目を向けて       園長  齋藤 由美

 例年と違った学年別の運動会、台風による延期もありましたが、大勢の保護者の皆様にご参加、ご感想をいただきました。ありがとうございました。子どもたちも「忍者オリンピック大成功!」と大喜びでした。短時間での取り組みでしたが、概ね「短い時間に我が子の活躍を見ることができ、見やすかった。」という感想が多くありました。「他学年の姿を見ると各学年の育ちを感じることができるのに残念。」という感想もありました。保育の中では、子どもたちが互いの学年の取り組みを見て憧れ、運動会後の活動につながっています。先日は3歳の子どもたちまで、遊びに使っていたハンドルを握って、年長児のようにリレーのトラックを走っていました。行事を伝統のように続けていく良さもありますが、その年ごとに、目の前にいる幼児の育ちに合った取り組みの工夫をしていく大切さを改めて感じました。
 運動会の取り組みを通して、友達と一緒に体を動かす楽しさを感じたり、自分の体が思うように動く喜びを感じたりするようになってきています。体を動かすのに心地よい季節、多様な動きが経験できるよう引き続き活動を工夫していきます。

 10月20日には、爽やかな秋空の下、4,5歳の子どもたちと都立小金井公園にバス遠足に行ってきました。公園での一番人気は、芝生の斜面で、山の上から力いっぱい走ること。どんどん足の動きが速くなり、勢いがつきすぎて転んでいる子もいましたが、立ち上がっては何度もかけのぼり生き生きとした表情で走っていました。斜面に寝転んでころころと転がっている子もいました。どの子も体が軽快に動く爽快さを感じているようでした。
 ドングリや木の実、落ち葉を集めている姿も多く見られました。初めて見る実は「これなんて言うの?」と名前が知りたくなり、「ムクロジの実だよ。」と言うと、自分が知ったことを友達に伝えたり、「中はどうなっているのだろう?」と種を取り出すことに夢中になったりする姿も見られました。「なんだろう?」と疑問に思ったり、知ると誰かと共有したくなったりする姿が見られました。
 お弁当は、コスモスの花畑の前で食べました。緑の芝に、温かな日差し、白い雲の下、好きな友達とおうちの方に作ってもらったお弁当を食べている間、「遠足って楽しいね。」「気持ちいいね。」「雲が骨みたいだね。」など、思いを言葉にし、友達同士顔を見合わせる姿をあちらこちらで見ました。
 弁当後も広い場で、友達と力いっぱい疲れるまで走ったり、自然の中を散策したりと、子どもたちが主体的に楽しいこと、面白そうなことを見つけて遊んでいました。
 帰りのバスの中、後ろの座席から「あー楽しかった。お母さんに言わなくっちゃ。」という小さなつぶやきが聞こえました。心の中のわくわくを大好きなお母さんに伝えたい、喜びや楽しさを共感してほしい、そんな気持ちがひしひしと伝わってくるつぶやきでした。
 
 運動会、遠足では、目標に向かって力を出したり、あきらめないで取り組んだり、様々なことに興味関心をもったり、友達と楽しさを共有したりしながら、夢中になって思い切り楽しみ「あれもやりたい」「もっとやりたい」という気持ちで生き生きと取り組むことができました。様々な体験や、人との関わりの中で、子どもたちの心の育ちに触れ、とても嬉しく思います。これからも一人一人に寄り添い、受け止めながら、心の育ちを大切にしていきます。

11月 ことり組(年少)

 初めての運動会後は、体操を踊ったり、思い出したように運動会の歌を歌ったりして、運動会を思い出し楽しんでいます。年中の玉入れや年長のバトンを持って走る姿などをまねして楽しむ姿がみられました。体を動かすことを楽しみながら、みんなでやると楽しいという気持ちを感じられたようです。
 保育室では、紙やテープ、空き箱など身近な素材を使って作ることが楽しくなってきています。いろいろなものを作ること、またできたものを使って遊ぶ楽しさを感じることができるようにしていきます。散歩に行って木の実を集めたり、園庭の落ち葉を集めたりして身近な秋の自然に触れ、遊びに使って楽しめるようにします。

11月 うさぎ組(年中)

 運動会を経験し、身体を動かすことやみんなと一緒にリズムに合わせて表現することを繰り返し楽しんできました。運動会後も、友達と一緒に忍者になりきって体操やダンスを踊ったりして、運動会の余韻を楽しんでいます。
 今月は、簡単なルールのある遊びを学級のみんなで一緒に楽しんだり、イメージしたものを様々な材料や方法で作ったりして、友達との遊びを楽しめるようにしていきます。さらに、その中で自分の思いを言葉や動きで表現する楽しさが感じられるようにしていきます。
 弁当時には当番活動を始めます。「いただきます」の挨拶をして、みんなのための仕事を自分たちで行い、「できた」「うれしい」という気持ちにつながるようにします。

11月 ぞう組(年長)

 運動会を経験し、一人一人が思い切り体を動かし、力を出し切った達成感や、友達と一緒に力を合わせる楽しさを経験することができ、友達と一緒に遊びたい、何かをやりたいという気持ちが強くなってきています。
 今月は、友達と考えやイメージを出し合いながら一緒にごっこ遊びを楽しめるようにします。また、子ども会に向けて仲間と一緒に準備を進めていきます。お話のイメージを共有しながら、友達と一緒に必要なものを作ったり、自分なりに役の気持ちを考えて表現したりしていきます。友達と一緒に考え合ったり、友達の良さに気付いたりする経験を大切にしながら、学級の仲間と一緒に劇を作り上げていく達成感や満足感を味わえるようにしていきます。
 戸外では、鬼遊びや、継続して取り組んでいるリレーなど、自分たちでルールを守りながら、思い切り体を動かす楽しさを味わえるようにしていきます。また、秋の自然にも興味をもちながら遊びに取り入れる楽しさを感じられるようにします。

10月 一人一人の幼児の成長のために     副園長  須田 なぎさ

 夏休み中に、「幼児教育におけるアタッチメントの重要性」という遠藤利彦先生(東京大学大学院教授)の研修を受ける機会がありました。「アタッチメント」とは、「くっつく」ということで、何か恐れや不安などがあったときに、くっつくことで崩れている感情を立て直し、安定した心を取り戻すということです。スキンシップと違うのは、物理的に「くっついていること」そのものよりも、「いざとなったらいつでもくっつける」という感覚が重要なのだそうです。そして、「安心の基地」となる大人は、いつでも「子どもより大きく、子どもより強く、子どもより賢く、そして、優しい存在」であるべきということでした。ただ優しく愛情を注ぐだけでなく、子どもを理解して、ダメなことはダメという毅然とした態度が必要なのだそうです。
 くっつく場=「安心の基地」があることで、子どもたちは、何かあったら助けてくれるという安心感をもちます。そして、さらに、一人でいろいろなことに挑戦しやってみようと自立していきます。一人でいられる時間が拡張することが、子どもの成長につながるとのことでした。子供園で、私たち保育者が、大切にしてきたことを再確認したお話でした。

 今年は自粛期間があり、1学期遅れてのスタートでしたが、ご家庭でゆっくり安心の基地を育んでいただいたおかげで、新しい生活に例年より慣れるのが早かったように思います。改めて、アタッチメント=安心の基地が大切なことを実感したスタートでした。
 2学期になり、子どもたちは、学級の担任との安心の基地を基盤に、自分のやりたいことを見付けて遊び、主体的に動き出しています。子供園の生活は、「楽しい!」こともたくさんありますが、時として、「困ったこと」「難しいこと」「悲しいこと」に出会います。そのようなときは、成長のチャンスです。
 「友達と一緒に遊びたかったのに、ダメって言われた。」「友達に〜って言いたかったのに分かってもらえなかった。」「リレーで勝ちたかったのに、転んで負けてしまった。」などです。
 こんなとき、保育者が安心の基地となり、励まし支えることで、子どもたちは、困難を乗り越えて大きくなっていきます。しかし、安心の基地の一番は、ご家庭です。ご家庭でお子さんが困っているようなことをつぶやいているときには、ぜひ園にお知らせください。ご家庭と共に、お子さんの成長を支えていきます。よろしくお願いいたします。

10月 ことり組(年少)

 遊びの中で、忍者になって踊ったり、かけっこをしたり、両足跳び、よじ登る、一本橋渡り、玉投げなどいろいろな動きの修行を繰り返し楽しんでいます。運動会は、ことり組にとって初めての大きな行事です。普段日々楽しんでいることを、おうちの方に見ていただきたいと考えています。ぞう組やうさぎ組のしていることを見て、「すごいな〜」「やってみたいな〜」と興味関心をもち、憧れの気持ちももてるようにしていきます。
 後半には、園庭や近隣の公園で秋の自然にもたくさん触れる機会を作っていきます。木の実や落ち葉を集めたり、ごちそう作りなどに使ったりしながら、遊びの楽しさを広げていきます。

10月 うさぎ組(年中)

 いよいよ今月は運動会があります。忍者からの巻物が届くと、喜んで体を動かしています。忍者になりきって「走る、跳ぶ、バランスをとる」など様々な動きにも楽しんで取り組んでいます。日々の遊びの中で取り組みを積み重ねていき、体を動かす心地良さを感じられるようにしていきます。
 秋の遠足では、初めて保育者や友達とバスに乗ったり、広い場所でみんなと一緒に遊んだりした経験を、遊びの中で表現することが楽しいと思えるように援助していきます。
 運動会や遠足で楽しかったことを再現したり、秋の自然に触れたりして、友達と一緒に遊ぶ楽しさをたっぷりと味わえるように支えていきます。

10月 ぞう組(年長)

 運動会に向けて、走る・引く・踏ん張る・踊るなど様々な動きの経験や、友達と気持ちを合わせて動こうとする経験をしています。思い切り体を動かし、力を出し切る達成感や、友達と一緒に力を合わせる楽しさを味わえるようにしていきます。また、運動会への取り組みの中での経験を通して、自信がもてるようにしていきます。
 秋の遠足では自然に興味をもって関わったり、自然の中で体を動かす楽しさを感じたりできるようにします。学級みんなでの活動では、リレーや綱引きに取り組んでいく中で、繰り返し挑戦する楽しさや友達と一緒に力を合わせながら遊ぶ楽しさが感じられるようにします。