令和5年度 園便り

11月 子供園の遊びは学びの宝石箱  園長 川嶋 佳恵

 木の葉が落ち始め、金木犀の香りや澄んだ空気に秋の深まりを感じる季節になりました。高井戸西子供園は自然環境に恵まれた素晴らしい園です。これからの季節は様々な木々の落ち葉が降り注ぎ、落ち葉で埋め尽くされます。子どもたちにとっては、そんな秋の園庭もとても魅力的な遊び場になりますね。秋の園生活もとても楽しみです。

 さて、先日、高井戸西子供園で「幼児教育公開」という研修会がありました。杉並区立小学校の先生に向けて子供園の教育・保育について発信することで、子供園の教育と小学校の教育との滑らかな接続をねらって位置付けされている小学校の教員向けの研修会です。このような研修を小学校の先生が受けたり、小学校と子供園の先生同士の交流や連携を行ったりすることで、互いの校種の特徴や教育内容、教育方法を学び、互いの教育の取り組みの違いを踏まえつつ互いの教育や子どもたちの学びが滑らかに確実につながっていくようにしています。この研修では、主に子供園で行われている教育・保育やその学びについて伝えていくのですが、先日の研修では、主に5歳児のリレーについて実際に取り組んでいる姿を観察してもらい、その姿に至るまでの過程やリレーで培われる学びについてお話ししました。その資料作りの過程で、リレー遊びは子どもたちが自ら学びをつかみ取ることのできる素晴らしい活動であることを改めて実感し、皆様にもお伝えしたくなりました。
 運動会での年長のリレーは、どのお子さんも自分の精一杯の力を発揮する姿が素晴らしかったですね。最終戦では、アンカーの二人が重なるように転んでしまうアクシデントがありましたが、二人ともすぐに立ち上がって最後まであきらめないで走り切る姿が今でも鮮明に心に残っています。
 リレーというと、小学校でも行われ、一般的に運動会の花形種目ですね。子供園でも運動会の花形種目ではありますが、小学校と違うのは、リレーも遊びの延長線にあり、速く走る、バトンをつなぐだけでなくその取り組みの中で、走る喜びや爽快感を感じたり、勝つための策を練ったり順番を考えたり、悔しい気持ちやうれしい気持ちを感じたり、足の速い子だけでなくそれなりの速さの子どもたちのこともチームの大切な一員として互いに励まし、認め合って、みんなで頑張る等多くの学びがぎゅーっと詰まった大変奥が深い活動です。このリレーの中の子どもたちの学びを分かりやすく幼稚園教育要領 第1章 総則 第2に示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」(図1)に当てはめて可視化してみると…幼児が様々な気候を感じながら思い切り走る喜びや面白さ、爽快感を感じる点から「健康な心と体」、リレーに主体的に参加し、困り感を感じたことを自ら発したり、友達の話を聞こうとしたり、速く走るようになりたい、チームが勝てるようにがんばろう、バトンを落とさないでつなぐ等目標に向かって自分の気持ちに折り合いをつけ、あきらめずに最後まで取り組む等の「自立心」、個人で頑張るだけでなくチームの友達と一緒に協力し、助け合いながら共通の目標に向かって力を発揮するという「共同性」、リレーのチームの友達とのかかわりの中で、自分だけ頑張っても勝てないことや負けてしまった時の気持ちのやり場、考え方等葛藤や躓きいざこざを通して自己を発揮しながら友達と折り合いをつけ、気持ちを調整したり、リレーのきまりの必要性に気付き、ルールを作ったり、守ったりする、また、友達のうれしさやくやしさの気持ちへの共感等自分の気持ちや行動だけでなく、友達の気持ちや行動を考える等「道徳性・規範意識の芽生え」、リレーに取り組む過程でより楽しくなるためのルールを考えたり、勝つためのメンバーの走順やなぜ負けたのかその理由をこれまでの経験をもとに考えたりする「思考力の芽生え」、人数の調整をしたり、順番を考えたり、自分の番号のゼッケンを選んで着けたり、番号順に並んだり、順番表に自分の名前を書いたりする中で、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」が培われたり、チームの仲間同士や学級のみんなでリレーに関する気持ちや考えを自由に伝えあう点においては、「言葉による伝え合い」等リレーでは、様々な力が培われていることが分かります。
 このようにリレーを分析してみると、リレーはあらゆる角度からの学びがあり、まさに学びの宝石箱だと思います。しかし、この学びは、運動会の種目として取り組んだから身に付くのではありません。年少や年中の頃から、年長児がするリレーに憧れ、リレーのまねっこ遊びをする中で、着々と培われてきたものが、土台となり年長のリレーへの取り組みの中で花開くのです。
 さて、ここまでは、リレーについてお話ししましたが…子供園で子どもたちが楽しんでいる遊びを上記のように分析していくと…びっくりするくらいたくさんの学びが見えてきます。私たち子供園の教師は、すべての遊びについてこのように分析し個々の子どもたちの発達に応じて一人ひとりの子どもたちの学びを確実なものにするためにそれぞれに適した指導・援助を行っています。そして、その遊びの中の学びは、教師の適切な読み取りとその読み取りに応じた適切な援助や環境設定によって実現されているのです。今は、大きな行事が終わってじっくり遊ぶことが楽しい時期です。私たちは、いつも子どもたちの心に寄り添いながらどの子どもたちの遊びも「学びの宝石箱」になるように丁寧に援助してまいります。

11月 年少ことり組

 初めての運動会では、みんなで体を動かすことが楽しいという気持ちが感じられました。運動会後は繰り返しみんなで走ることを楽しんだり、他学年のリズムを踊ったり、玉入れなどの競技をやってみたりして、異年齢の幼児に憧れをもっていました。
 今月は散歩に行って木の実を集めたり、園庭の落ち葉を集めたりして身近な秋の自然に触れ、遊びに使って楽しめるようにします。
 また、保育室では、紙やセロハンテープ、空き箱、ハサミなど色々な素材を使って作ることが楽しくなってきています。色々なものを作ること、またできたものを使って遊ぶ楽しさを感じることができるようにしていきます。

11月 年中うさぎ組

 今月は鬼遊びやボール遊びなどルールのある遊びを学級みんなで一緒に楽しんだり、イメージしたものを様々な材料や方法で作ったりして、友達との遊びを楽しめるようにしていきます。さらに、その中で自分の思いを言葉や動きで表現する楽しさが感じられるようにしていきます。
 秋の遠足では、教師や学級の友達とバスに乗ったり、動物に興味をもって見たりした経験を、遊びの中で表現することが楽しいと思えるように援助していきます。遠足で楽しかったことを再現したり、秋の自然に触れたりして、友達と一緒に遊ぶ楽しさをたっぷりと味わえるように支えていきます。
 また、子ども会に向けてストーリーの中で役になって動いたり、やり取りをしたりする楽しさを感じられるようにしていきます。

11月 年長ぞう組

 運動会を経験し、一人ひとりが思い切り体を動かし、力を出し切った達成感や、友達と一緒に力を合わせる楽しさを経験しました。友達と一緒に遊びたい、何かをやりたいという気持ちが強くなってきています。
 今月は、友達と考えやイメージを出し合いながら一緒に遊ぶことを楽しめるようにします。秋の遠足では動物に興味をもって見たり、全員で体験したことを遊びに生かしたりする中で、友達と思いを伝え合うことを楽しめるようにしていきます。また、子ども会に向けて仲間と一緒に準備を進めていきます。お話のイメージを共有しながら、友達と一緒に必要なものを作ったり、自分なりに役の気持ちを考えて表現したりしていきます。友達と一緒に考え合ったり、友達の良さに気付いたりする経験を大切にして、学級の仲間と一緒に劇を作り上げていく達成感や満足感を味わえるようにします。
 戸外では、ドッジボールや、鬼遊びなど、自分たちでルールを守りながら、思い切り体を動かす楽しさを味わえるようにしていきます。また、秋の自然にも興味をもちながら遊びに取り入れる楽しさを感じられるようにしていきます。

10月 取組の過程での様々な気持ちの大切さ  副園長 大萩 純子

 ようやく朝夕は涼しくなってきましたが、日中の暑さはまだあるため、熱中症対策は欠かせません。本園では、子どもたちの体調把握と天気予報やその時の気温を見ながら、その日の運動に適した時間帯や取組内容を考慮しています。そのような中で9月中も子どもたちは園庭やホール等を使用しながら、思い切り体を動かし、楽しさや心地よさ、やる気、喜び、くやしさ等、様々な気持ちを感じて成長しています。
 年少ことり組は、すでに学級のみんなと経験したリズム曲がかかると、自然と体が動き出しています。そばにいる子が踊りだすと次々と他の子どもたちも集まり、それぞれにリズムの心地よさを感じるがままに踊るのです。そのような姿が毎日のように出ています。最近は担任から運動会のテーマにちなんだ宇宙に関連した話や曲を紹介されると、すっかり宇宙人気分で踊っています。なりきることで意欲が高まり、赤や黄色などの色とりどりのお気に入りの衣装を着てかわいい手足を精一杯動かしています。学級のみんなと一緒に繰り返し踊る中で安心感や好きな踊りを踊る嬉しさであふれているようです。また、かけっこでは園長先生が「ここまでおいで!」と手を振りながらゴールで待っていると、そこをめざして思い切り何度も何度も楽しそうに走ります。走るうちに、走る心地よさも感じるようになり、そして好きな遊びの時間にも自主的に繰り返し走るのですが、ゴールにはちゃんと園長先生の役の子が待機し、その子にタッチして走り終える等“かけっこごっこ”を楽しむ姿があります。
 年中うさぎ組は、先日2階のホールから降りてきた際に「バナナ星に行ってきたんだ」「楽しかったね」と晴れやかな表情で話していました。学級のみんなでホールの中を宇宙にあるバナナの星に見立てて体を動かして遊んできたのでした。すっかり特別な星に行った気分となりその後も宇宙に関連したことに興味をもち、遊び道具を作っては、なりきって遊んでいる子がいます。このようにみんなで取り組んだことがきっかけとなり、好きな遊びの内容も広がっています。リズム曲の衣装を作るとその宇宙生物になったつもりで、おうちごっこをしたり、学級の仲間と一緒に軽快なノリノリのリズムに乗って踊ったりすることを楽しんでいます。ここでもただ運動会に向けてやるべきことをやるのではなく、子どもたちがおもしろい!、楽しい!!という気持ちを感じながら主体的に様々な活動に取り組み、結果的に経験してほしいことができるよう保育者が工夫しています。
 年長ぞう組は、これまでの経験の積み重ねにより一人ひとりがやる気に満ち溢れており、リズムも競技も様々な感情があふれ素晴らしい取り組みになっています。先日から、月のかけらに見立てたものを取り合う種目に取り組んでいます。やや重たくて大きい大切なものを、相手チームにとられないように気をつけながら抱えて運ばなければなりません。繰り返し遊んでいるうちに、腰を低くして運ぶ姿や素早く運ぶ姿、周囲に気を配る姿も出てきました。その中で、仲間と協力していく気持ち、もっとやりたいと思う意欲も湧いてきています。そして、リレーは、昨年の年長のリレーを見た運動会後から繰り返しまねをして走りこんできただけに、とてもとても熱く取り組んでいます。対戦して負けた時には、思い切り悔しがる姿がありましたが、子どもたちはその中で、その気持ちを感じる、励ます、どうしたらよいか仲間と作戦を考える等々の姿へ変化しています。一人ではなく仲間と気持ちを合わせて応援するという熱いやり取りも出ている様子からは、園生活のなかでこそ経験し、様々な気持ちを乗り越えて成長しているパワーが感じられます。
 運動会は当日のできた、できなかったの姿だけでなく、運動会へのこれまでの取り組みの過程や、様々な感情がぎゅーっと詰まった姿を踏まえて、ご家庭の皆様も子どもたちの成長を共に喜んでいただけますよう、よろしくお願いいたします。

10月 年少ことり組

 かけっこで元気いっぱい走ったり、リズムに合わせて踊ったりすることを楽しんでいます。ことり組にとって初めての大きな行事である運動会では、巧技台などを使った活動もする中で、学級の幼児やおうちの方と一緒に体を動かして楽しみたいと考えています。今月は子どもたちが、同じ学級の幼児と「走ることが楽しい!ジャンプをしたり橋を渡ったりするのが面白い!」と、体を動かす気持ちよさを繰り返し楽しめるようにしていきます。子どもたちにとってドキドキ、ワクワクの運動会では子どもたちの様々な様子が見られると思いますが、保護者の皆様には一つ一つが大切な経験と捉えて温かく見守っていただけますようよろしくお願いいたします。運動会後には、園庭や近隣の公園で秋の自然にもたくさん触れる機会を作っていきます。木の実や落ち葉を集めたり、ごちそう作りなどに使ったりしながら、遊びの楽しさを広げていきます。

10月 年中うさぎ組

 いよいよ今月は運動会があります。宇宙のイメージで表現遊びを楽しんだり体を動かしたりしながら、うさぎ組のみんなで踊ることや、思い切り走ること、ねらいを定めて玉を投げることなどの遊びを繰り返し経験していきます。また、年長児の取り組みを見る中で、憧れの気持ちや、「うさぎ組も頑張るぞ!」という思いももって、元気に運動遊びに取り組んでいきます。日々の遊びの中でこれらの経験を積み重ねていくことで、体を動かす心地良さをたくさん感じられるようにしていきます。
 運動会で楽しかったことを再現したり、秋の自然に触れたりしながら、友達と一緒に遊ぶ楽しさをたっぷりと味わえるように支えていきます。

10月 年長ぞう組

 1学期から繰り返しリレーや八木節を踊るなど、体を動かして遊ぶことが大好きで運動会を心待ちにしていたぞう組の子どもたち。いよいよ待ちにまった運動会です。子どもたちは、走る・踊る・宝(月のかけら)を素早く取ったり守ったりするなどの様々な動きや、友達と気持ちを合わせて活動をする経験をしています。繰り返し楽しんでいく中で、年中の時よりも早く、そして力強く体を動かすようになってきました。思い切り体を動かし、自分の力を出し切る達成感や、チームの友達と一緒に、気持ちと力を合わせていく楽しさを味わえるようにしていきます。年長は運動会では係の仕事もします。運動会に向けた様々な活動で、一人ひとりが自分の力を発揮する喜びを感じ、自信が得られるようにしていきます。保護者の皆様には、お子様の頑張る姿を温かく見守り、さまざまな感情を味わうことが大切な経験だと捉えて温かく励ましていただけますようによろしくお願いいたします。
 運動会後には、楽しかったことや頑張ったことを振り返りながら、再現して遊んだり、秋の自然を沢山遊びの中に取り入れたりしていき、友達とのつながりを感じながら思いや考えを出し合って遊ぶことを楽しめるように支えていきます。