学校だより

平成30年度

3月号 新しき風

 先日の朝会で東日本大震災についてのお話をしました。震災から8年、東北の復興がすすんでいます。かつてサッカーのトレーニングセンダーとして有名だったJビレッジは原発事故の対応拠点として使用されていましたが、ここでなでしこジャパンの合宿が行われたというニュースを見ました。ホームページを見ると宿泊プランも紹介されており、かつてのサッカーの聖地としての姿をとりもどしつつあります。

 また、朝のドラマで有名になった三陸鉄道もこの3月23日にJR山田線の宮古〜釜石間が三陸鉄道に移管され、盛〜久慈を結ぶ三陸鉄道リアス線として全線開通します。現在も開通に向けて、新しい車両の搬入や試運転が行われています。三陸鉄道は3月11日に壊滅的な被害を受けたにもかかわらず、5日目には一部路線で運転を再開、被災者を勇気づけてくれました。

 ところが、今なお仮設住宅で暮らす人は約3万人。プレハブや民間アパートで生活している人も約3万人いるそうです。すまいの再建は困難を伴うのかもしれません。東北地方は震災前から過疎化がすすんでいたのですが、震災で人口減少は一層進行し、避難指示区域のある7市町村で今なお6万4000人の人が避難生活を送っており、故郷を離れて暮らす人の約半分がPTSDだともいわれています。こんな困難な生活を送っている中にあっても、被災地の若者たちは真剣に自分自身のことを考えているというお話を伺いました。そして、この傾向は地方と東京という比較でも同様で、東京の若者より地方の若者の方がより真剣に自分自身のことを考えているそうです。過疎化、高齢化が進むまち、けっして便利とはいえない生活、学校もそれほど多くはないでしょう。被災地であればなおさらです。ふるさとに帰れない、友たちとの別れ。逆風に向かって「これからお前はどうするんだ。」自問自答しているのかもしれません。

 先日、1年生の職業講話にIT関係の方、弁護士さん、歯科医師さん、金融関係にお勤めの方の4人の講師の先生をお招きしました。講師の先生から「自分自身を見つめなおすことができた」というお礼をいただき、たいへん恐縮しました。大人になっても自分自身を振り返る機会は大切なのです。いよいよ今月は進級、卒業です。今までの自らの生き様を振り返ることで、自分自身に風を吹き込み、「お前はどう生きるのか?」問い詰めてください。

 まもなく平成30年度が終わります。そして、災害が多かったともいわれる平成の時代もあとわずかとなりました。「光り湧く」は先代の杉山校長先生が平成21年4月8日に創刊され、今月号まで高円寺中学校の学校だよりとして発行されてきました。表題の「光り湧く」は、高中生が「自ら輝く」「光湧く」人になってもらいたいために校歌の一節からとって命名されたそうです。創刊から10年間、高円寺中学校が新たな一歩を踏み出す節目の年をもってこの「光り湧く」の使命を終えたいと思います。長い間お読みいただきありがとうございました。(仮称)高円寺学園の開校にはあと1年かかりますが、一歩先んじて、4月からの学校だよりでは「新しい学校」についてできる限り紹介してまいりたいと思います。また、あわせてニュースレター「こども未来こうえんじ」も内容を一新し、(仮称)高円寺学園開校に向けての内容として発行していく予定です。さらにニュースレターは、配布範囲を学校以外に拡大してゆく予定でもおります。あわせてよろしくお願いいたします。(橋本 剛)

1月号 次の代を受け継ぐ宝

 あけましておめでとうございます。平成で最後となる31年が始まりました。みんな、元気に新しい年を迎えたことと思います。そして、それぞれ新しい年の目標をしっかり設定し、目標達成に向けての取り組みをスタートしてくれたことと思います。新しい年を去年以上に充実した年にしていくために、できることから始めていきましょう。そして、1年後の大晦日に「いい年だったね」と思える1年間にしてまいりましょう。
 
 この5月1日から新たな元号に変わるので、この年末から年始にかけては「平成最後の・・・」というタイトルがかなり多かった気がします。西暦では2019年で、そのまま続いていくのですが、日本では現在も元号と西暦が共存しています。「日本書記」によれば、645年の大化の改新のときに「大化」が使われたのがはじめだと言われています。新たな元号は4月に発表されるそうですが、今の3年生は平成16年4月2日生まれ以降なので、平成時代の約半分を生きてきたことになります。平成後半の15年間にはどんなことが起こったのでしょうか。それぞれの年の10大ニュースからおさらいしてみます。

平成16年 新潟県中越地震、アテネオリンピック、新紙幣(1万、5千、千円札)発行
平成17年 福知山線脱線事故、愛知万博開催、プロ野球セパ交流戦開幕
平成18年 トリノ冬季五輪、各地で大雪による被害多発、日本の15以下人口率世界最低に
平成19年 第1回東京マラソン、全国学力調査実施、携帯電話用検索エンジン提供開始
平成20年 北京オリンピック、ノーベル物理学賞3人、化学賞1人受賞
平成21年 鹿児島県桜島噴火、国際宇宙ステーション実験棟「きぼう」完成
平成22年 113年間で最も暑い夏。小惑星探査機「はやぶさ」帰還
平成23年 東日本大震災、サッカー「なでしこジャパン」世界一に、地デジ放送に移行
平成24年 東京スカイツリー開業、ロンドンオリンピック、中央道トンネル崩落事故
平成25年 2020東京オリンピック開催決定、富士山世界文化遺産に
平成26年 御嶽山噴火、消費税8%スタート、青色発光ダイオードでノーベル物理学賞受賞
平成27年 ラグビーW杯で日本3勝、マイナンバー制度開始、北陸新幹線金沢まで開通
平成28年 オバマ大統領広島訪問、熊本地震、リオオリンピック
平成29年 藤井四段29連勝、陸上100m日本人初の9秒台、パンダの赤ちゃん誕生
平成30年 平昌冬季オリンピック、西日本豪雨、北海道震度7道内全域で停電

 いろいろなことがありました。そして、これからもっと多くのことがあることでしょう。人知を超えるAIの台頭。毎年40万人ずつ減少するといわれる日本の人口。連日指摘される異常気象の問題。持続可能な社会をいかに構築していくか。自分たちのまちをどう維持・発展させていくか、防災への備えは大丈夫か・・・課題山積です。しかし、これらの課題に果敢に挑戦し、次の時代を作っていくのは確実にみなさんです。当たり前を問い直し、課題に対して自ら考え、みんなで取り組んでいく中から解決策に迫っていく、日頃から少し先を見て行動していこうではありませんか。みなさんはまさに「次代を受け継ぐ宝物」そのものなのです。(橋本 剛)

よい年をお迎えください


 今年1年間、たいへんお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

11月号 すこやかに伸びゆく

 今年のわくわくフェスティバルが終わりました。開会式でみなさんにお願いしたことでもあるのですが、この体育館での開催は最後で、次回からは新しい校舎での開催となるので、「新しいわくわくフェスティバル」をイメージしながらみなさんも参加してくれたことと思います。私も初めてこのフェスティバルを見たときのことを思い出しながら見せていただきました。各校の展示発表に加えて、総合的な学習の発表では杉並第四小学校5年生の「いただきます ! 〜みる・考える 米 SOUL FOOD〜」杉並第八小学校6年生の「発見 ! 自分たちの高円寺阿波おどり〜私たちの取組と学び」中学校1年生は「職場訪問。自己理解と進路学習。インクルーシブ教育」中学校2年生は「職場体験のまとめ」中学校3年生の「高円寺地域貢献活動のまとめ」について発表されました。合唱では小学校6年生と中学生全員での合同合唱。中学生各学年での合唱。さらに、中学生全員の手話での校歌斉唱。昼食休憩をはさんで、吹奏楽部の演奏。阿波踊りは4年ぶりに3つの連の発表とともに最後に経験者特別連と先生方による踊りが披露されました。文字にしてもなかなかの分量です。秋には合唱コンクールという中学校の行事が一般的だと思ってきた私自身に高円寺のフェスティバルは強烈な第一印象を与えてくれたことを今でも思いだします。さらに、しっかりしとした小学生の発表から伝わってくる小学生としての主張にも大きな驚きを覚え、小学生もなかなかやるなと心から思わせてくれました。この「わくわく」感が高円寺のまちと学校のもつ力なのだと感じたことを改めて思い出しました。
 「阿波おどり」には運動会でも取り組んでおり、紅白ふたつの連で発表を行いました。今年の秋は3つの縦割り連を作り、それぞれの連ごとに踊りを創造し発表します。総合発表、全校合唱、学年合唱などの練習と並行して、連長さんを中心に踊りや構成をすべて生徒で考え、練習し発表するというもので、3年生が後輩を引っ張ってきてくれました。高円寺中で脈々と引き継がれている伝統なのでしょうが、3年生のみなさんありがとうございました。中学校はたった3年間ですが、よくわからない1年生も、2年生で主体的に体験し、後期から生徒会を引き継ぎ、スキー教室を終えるころにはりっぱに3年生を送り出せるまでに成長します。最上級生として運動会とわくわくフェスティバルを実行することで、高円寺中の気持ちを後輩に受け継ぎ、次の世代の成長を促しているのでしょう。
さて、次のわくわくフェスティバルは2年生が主役になります。内容がどうなるのかはこれからでしょうが、来年の今ごろには、新しい高円寺中学校の中心として活動していってくれることを期待しています。そして、平成32年度の開校に向けて。小学生のみんなといっしょの「わくわくフェスティバル」ができるといいなと思っています。高円寺のまちにある3つの学校が共に学び育っていく学校にしていくためにも、運動会とならび文化祭は大事な行事です。わくわく感いっぱいの高円寺のまちの仲間みんなで、もっと「わくわく」する取り組みにしていくためにも、一緒に考えてまいりましょう。
 庭のクスノキは昨年の70周年記念式典後に、新しい学校のモニュメントとして生まれ変わるために伐採され、シートをかけられていましたが、そこかしこから新しい芽が伸びてきています。みなさんに植えてもらった種子も4つの鉢で発芽し、すくすくと育っています。今後、高円寺の子供たちのすこやかな成長を見守ってくれることと思います。(橋本 剛)

9月号 「智慧の星」


 夏休みが終わりました。今年はとにかく暑い夏で、7月当初から猛暑日が続く中、高円寺中学校の夏休みは3回目を迎えた「はぴはぴフェスティバル」からスタートしました。暑い体育館でしたが、たくさんのお客様においでいただき感謝申し上げます。大人実行委員さんをはじめとした地域のみなさま、多くの子供実行委員さん。出演者の皆様ありがとうございました。今年も楽しい行事にすることができました。あわせて体育館で行われた恒例のラジオ体操にも多数の生徒が参加してくれました。また、最初の1週間で「パワーアップ教室」と「教育相談」が行われました。保護者の方と担任との三者で、1学期を振り返り、夏休みと2学期に向けての生活や学習についての方向性を相談してくれたことと思います。さらに、今年は新校舎の工事に加えて、西側ブロック塀の改修工事も行いました。6月18日の大阪北部地震でのブロック塀の倒壊事故を受け、杉並区でも全小中学校で点検を行いました。本校の塀には控壁もあり、かなり丈夫そうでしたが、高さが基準値以上とのことで1学期末から北門から生徒玄関までを通行止めとしました。塀の上部を削る工事終了を受けて、8月中旬から以前の通路の使用ができるようになっています。ご迷惑とご心配をおかけし申し訳ありませんでした。
 
 また、今年もジュニアスポーツアジア交流事業で、デリーと台北から卓球とバドミントンの選手を学校に迎え、阿波踊りの交流や、折り紙、めんこ、けん玉、木芯こま、うちわや応援フラッグ作りなどの日本の文化を体験していただきました。ボランティア生徒のみなさんの「おもてなし」に重ねて感謝いたします。3年生では阿波踊りでのボランティア活動を通して、高円寺のまちを考え、まちの一員としての意識をさらに高め、まちにいかに貢献できるかをテーマに、1学期から阿波踊り振興協会の皆さんとも相談を重ね、今年は「インフォメーションでの道案内」「歩行者の交通整理」「会場でのごみ回収」という3つのチームに分かれて、第62回東京高円寺阿波踊りのお手伝いをすることができました。今まで連の一員として踊っていた人も、踊りや氷川神社の祭礼を楽しく見ていたという人も、スタッフとして阿波踊りに関わることで、高円寺ならではの別の阿波踊りを体験することができたと思います。2日間大変な思いをした人も多かったと思いますが、本当にありがとうございました。

 夏休みラストの1週間も暑い日が続きました。9月3日の始業式は雨模様でまずまずでしたが、これからの3か月予想でも気温は例年に比べて高めとの予報です。しかし、季節はゆっくりかもしれませんが、確実に秋に向かっていきます。スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋、何をするのにも最高の季節を迎えます。始業式で提出した夏休みのしおりには毎日の記録とともに、夏休みの思い出や反省、2学期の決意が力強く書かれていることと思います。3年生の皆さんはもちろん、中学校の2学期は「学ぶ力」を大きく育てる時期です。この力を育てるために、学力調査結果のアドバイスを参考にしながら、自ら課題を選び、仲間とともに考え、それぞれの学びにひたることを目指していきましょう。わからないところは直接先生方に聞いてください。この2学期を充実させ、生徒一人一人の智慧の星を輝かせていくため職員一同取り組んでまいります。今学期も引き続きよろしくお願いいたします。(橋本 剛)

6月号 「なごやかに瞬く」

 
 運動会が終わりました。今年も杉並第四小学校の校庭をお借りしての開催となり、杉四小や近隣の皆様には練習を含めてご迷惑をおかけしました。お蔭様でよいお天気のもと第66回運動会を無事に終えることができました。ありがとうございました。
 
 修学旅行やフレンドシップスクールがあり、今年も練習や準備には十分な時間が取れない中、実行委員の皆さんや三年生のリードのもと、スローガン通りの大会とすることができました。思えば、運動会は中学校で3回しか経験できません。1年生は大繩跳びや全員リレーの難しさを実感したことと思います。運動が得意という人もいればとっても苦手という人もいます。そんな中でクラスのみんながいかに力を合わせ、協力して取り組んでいくことはそれほど簡単なことではなかったでしょう。しかし、お互いに声をかけあったり、せいいっぱい応援する姿からみんなのやさしさやあたたかさがが伝わってきました。
 
 そして今年も、小学生の皆さんが中学校の運動会に出場してくれました。幼児、1・2年生の「ジャンプでキャッチ」3・4年生と中学生の直接対決「綱引き」では今年も小学生に勝つことができませんでした。5・6年生と中学生選手、職員の「急がば急げ」。小・中・教員対抗リレーでも小学生の健闘が印象的でした。「高中運動会へようこそ!!楽しんでいってください」というメッセージそのものの運動会であったと思いました。
 
 種目等については例年と大きな変更はありませんでしたが、今年の先生方のユニフォームを見ていただけましたでしょうか。ニュースレターでおなじみの「子どもみらい高円寺」の杉並第四小学校、杉並第八小学校、高円寺中学校の校章と3本の杉のイラストとともに「Team Koenji Go for 2020」と書かれています。今までも3校の先生方でともに学び、ともに考え、活動してまいりましたが、チーム高円寺の力を結集し、新しい学校づくりに向けて取り組んでまいりたいと考えております。(橋本 剛)

4月号 「梢には花明かる」

 平成30年度がスタートしました。お子様のご入学、ご進級おめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。今年度も、どうぞよろしくお願いいたします。今日の始業式は2・3年生だけですが、明日の入学式で45名の進入生を迎えます。今年度は1年生45名、2年生35名、3年生40名、計120名となります。学級編制上では全校で4学級になりますが、今年も各学年とも2つのクラスになっています。実際の運用としては適宜1学級、2学級その場に応じて展開していく予定でおり、引き続き学年集団として育てていくという姿勢で学年・学級経営にあたっていきたいと考えています。

 高円寺のまちの高円寺中学校は、地域に根ざした学校として、多くの卒業生や地域のみなさまに大切にされてきました。今年も生徒数120人という小さな学校にかわりはありませんが、生徒同士とても仲が良く、一人一人の生徒へのきめ細やかな指導の継続を目指してまいります。いつも感じることですが、小さな学校ならではの一体感のような暖かさが伝わってきます。高円寺中学校に集う生徒たちの健やかな成長のために、教職員一同全力で努力する一方、地域、子供園・小学校・関係機関等との連携をいっそう深め、新しい学校づくり、そして地域とともにまちづくりを目指して取り組んでまいりたいと考えています。

 本校の教育目標は今年度も「豊かな心と体をつくろう」「よく学び深く見つめよう」「たがいに助け高め合おう」です。今年度もこの目標を目指して取り組んでまいります。そのために、一人一人の生徒を大切にし、個々の生徒の成長を全力で支援してまいります。また、生徒、保護者、地域の皆様そして教職員の豊かな人間関係を基礎に引き続き心の成長も図っていきたいと考えています。

 また、今年も引き続き、多くの生徒のボランティア活動への積極的な参加をお願いします。学校の様子につきましては引き続き学校ホームページで随時紹介してまいります。さらに、緊急時の連絡(防犯情報、気象状況による登下校時刻変更等の連絡、地震等への対応など)につきましては緊急連絡メールを活用してまいりますので、まだ登録されていないというご家庭につきましては、後日配布いたします文書をごらんいただき、登録してくださいますようお願いいたします。

 昨年度、高円寺中学校は創立70周年を迎えました。11月には記念式典と記念祝賀会をひらき、高円寺中学校としての最後の周年行事を行うことができました。当初予定から1年遅れの平成32年度に新しい小中一貫教育校として開校します。校舎は平成31年の夏には完成しますので、中学校は31年の夏休みに引っ越し、2学期からは新しい校舎で学ぶこととなります。ですので、この平成30年度は今の校舎で1年通して学ぶ最後の1年間になります。「梢には花明る 高円寺 われらの春」を迎えました。明日は45人の新入生を新たに迎え、平成30年度の高円寺中学校がスタートします。(橋本 剛)