令和4年度 園だより

自分で一歩を踏み出す力 園長 齋藤 由美

今年度も残すところあと1カ月となりました。コロナの感染者数が減少してきて、園生活も日常が戻ってきています。様々な行事や保護者の方にボランティアに来ていただく機会も少しずつ増やしていくことができました。ご協力をありがとうございました。
子供園では、2月に入り、誕生会の司会、お休み調べ、モルモット当番など、年長組から年中組へ様々な引継ぎが行われています。引継ぎは、年長、年中組の幼児がペアになって行っています。お休み調べは、4人一組になって、いるか組ぺんぎん組らっこ組を回って職員室へとやってきます。職員室に来ると入口の外から、「お休み調べです。」と当番の幼児が揃って言います。「はじめは中に入らないで言うんだよ。」「まっすぐ並んで。」など年長児が身振り手振りで教えています。ある日、今まで4人で並んでいたのに、年中組の後ろに年長組の子どもたちがいるのに気付きました。聞いてみると「もう1回教えたから、2回目は自分たちでできるかどうか見ているんだ。」ということでした。自分でできることだけれど、先回りせず、あえて年中組の様子を後ろから見守っているのです。年中児が不安になって後ろを見るとニコッと笑って背中をさする姿がありました。すると年中児が安心したように話し始めたのです。年長児も自分がそうしてもらったことがあるのでしょうか。大人が一緒にいたら、すぐに教えてしまったり、手を出してしまったりする場面でも、その子のペースに合わせて優しく見守っている年長児の心の成長に驚かされると共に、温かさを感じ嬉しい気持ちでいっぱいになりました。ペアになってまだわずかな期間ですが、年中児の年長児のお兄さんお姉さんへの信頼を感じました。後ろについていてくれる、見ていてくれる、困ったら助けてくれる、そんな気持ちが一歩踏み出す勇気につながっているのでしょう。子どもたちは、不安や心配を感じても、少しの支えがあることで前に進むことができるのですね。
大人も「できるよ!」「頑張れ!」「こうしたら!」と先回りをするだけではなく、不安や緊張も温かな声や表情でしっかりと受け止め、気持ちを安定させ、子どもたちがまた自分で一歩を踏み出す力がもてる、そんな関わりのできる存在になりたいですね。
らっこ組の子どもたちもこどもかいの劇遊びや楽器遊びを、お兄さんお姉さんたちに見てもらいたくさん褒めてもらいました。お家の方からも成長した姿をたくさん褒めてもらい、大きくなった自分に嬉しい気持ちを感じていることでしょう。
今年度も残すところあとわずか、どの幼児も、安定した学級のつながりの中で、のびのびと自己発揮できるようになってきています。今年度最後の大きくステップアップしていくこの時期に、職員一同一人一人に丁寧に寄り添い、楽しく充実した園生活が過ごせるように努めてまいります。
一人一人が新しい年度に向けて大きく羽ばたいていくことができるよう一緒に見守り支えていきましょう。

2月  日本の文化や伝統に触れる   副園長 大塚 玲華

今年度最後の学期になりました。
先日3学期が始まった日に、地域の方(居城(いしろ)さん)にいらしていただき、獅子舞とひょっとこ踊りを見せていただきました。
子どもたちは、少しドキドキしながら獅子舞に頭を噛んでもらったり、ひょっとこの面白い顔を見て笑ったりしました。
獅子舞に頭を噛んでもらうことには、邪気払いや疫病退散の意味があります。また、ひょっとこには、笑いを起こして福を招く意味があります。
「(獅子舞を)見たことがある!」という子や「知らない」「初めて」という子など様々でしたが、直接見たり、噛んでもらうことを体験したりする中で、どの子も年の初めの日本の伝統文化に触れ、意味を知る機会となりました。

翌日から遊びの中で、早速獅子舞を作る子どもたちの姿が見られました。年長いるか組は、「どうやったら作れるかな」と獅子舞が動く仕組みを考えたり、素材を選んだりしながら、友達と作りました。そして、本物と同じように、獅子舞の体の中に入り、口をパクパク動かすことができるものが出来上がりました。出来上がると、獅子舞を被って、年中ぺんぎん組やらっこ組に行き、頭を噛んであげる姿がありました。年長いるか組の獅子舞に頭を噛んでもらった年少らっこ組では、小さな空き箱を組み合わせ、パクパクと動かし、自分だけの獅子舞を作り、大切そうに持ち歩く姿が見られました。年中ぺんぎん組も、製作コーナーの素材を様々に組み合わせ、自分の獅子舞を作り、身近な友達の頭を噛んで遊ぶ姿が見られました。
本物の獅子舞やひょっとこ踊りを見たり、意味を知ったりする体験をして、子どもたちは心を動かされたようです。心を動かされたことで、それを遊びに取り入れたいという気持ちにもつながっていきました。

今回のように、子供園では、日本の文化や伝統に触れる機会が様々にあります。7月には七夕、これから2月には節分、3月にはひな祭りなどの年中行事、また、今でいえば、こままわしやすごろくなどの伝承遊びなどです。

伝統的な行事や遊びに触れ、親しむ中で、長い歴史の中で育んでいた文化や伝統の豊かさを感じたり気付いたりし、それらを大切にする心が育っていってほしいと考えています。

ぜひ、ご家庭でも、子どもたちがどんなことを体験したのか、どんな話を聞いたのか、聞いてみてください。また、子供園で楽しんでいる伝統的な遊びを一緒に楽しんでみてください。