令和3年度 園便り

7月 高井戸西子供園の特別支援教育って?  副園長  川副 園美

 4月から始まった高井戸西子供園の保育も3か月が過ぎようとしています。3歳児は不安そうな様子はほとんど見られなくなり、大好きな先生たちと砂場の遊びが楽しそうです。4歳児は自分たちで居場所を作り、ごっこ遊びを楽しむ姿が多くなってきました。先生と一緒に遊びながら、遊び方や楽しみ方を学んでいるようです。5歳児は大型積み木の使い方がうまくなり、自分たちで大きな構成物を作ったり、お化け屋敷のような場所を作ったりしながら仲間と思いを出し合って遊んでいます。思いのぶつかり合いも多いのですが少しずつ折り合いをつけられるようになってきています。どの学年も、1学期に育てたい姿に近づいてきました。

 さて、今回は特別支援教育について書いてみようと思います。保護者の皆様は「特別支援教育」という言葉を聞いたことがありますか? 2006年に国連総会は「障害者の権利に関する条例」を採択し、日本は2007年に同条約に署名。文部科学省は2012年に障害者権利条約の理念踏まえ、障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り共に教育を行うこととしました。また「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた取り組みを支援するという視点に立ち(以下抜粋)適切な指導及び必要な支援を行うものとするということとなりました。
 とはいえ、具体的にどのような取り組みを行っているのか分かりにくいこともあるのでは…。子供園では特別支援コーディネーター(今年度は山口優香教諭)を中心に、園内委員会においてニーズのある子どもに必要な支援が届くことを目指しています。また、支援が必要なお子さんの実態把握、目標の設定、実践、評価、そして次の目標設定が行われるようにサイクルを作っています。また、コーディネーターは、外部の専門家との連携、個別の指導計画策定、保育者の資質向上のための研修、保護者の理解啓発の役割を担っています。
 保護者の皆様への理解啓発は、子育てに関する情報の提供や小学校までに身につけたい力の共有、子供園で取り組んでいるユニバーサルデザイン(誰にとってもわかりやすい手立て)などに関する情報提供を行っていきます。
 私は、特別支援教育は支援の必要な子どものためだけにあるのかを疑問に思うことがあります。どの子にも得意な分野もあれば不得意な分野もあります。不得意なことや自信のないことを、できるように導いていくことが教育の基本であり、福祉の理念でもあると考えているからです。一人一人の良さを生かしながら、自分でできることを増やし、互いに助け合う学級を作るためにも、誰にでも分かりやすく取り組みやすい保育をすすめていくことが大切だと考えます。
 高井戸西子供園では、支援の必要な子どもたちを含めた全ての子どもたちが、安心して生活し、共にいきいきと育つ保育をすすめていくためにも、教職員が「特別支援教育」を理解し学び続け、分かったことや子育てのヒントを保護者の皆様と共有していきたいと思っています。

7月 年少ことり組

 今月は色水や泥遊びなどで水を使って遊ぶ楽しさを感じたり、水遊びやプールで水の冷たさや気持ちよさを感じたりすることを思い切り楽しみます。また、学級で育てているミニトマトやインゲンを収穫する喜びを感じたり、野菜の美味しさを感じたりできるように計画していきます。
 生活面では、着替えの機会が多くなります。繰り返し、着替えの方法やコツを伝えていき、自分でやってみようと思えるように援助していきます。
 水遊びをしたり、暑い日も増えたりして、疲れも出やすくなります。生活リズムを整え、元気に遊べるよう、ご協力お願いいたします。

7月 年中うさぎ組

 プール・水遊びが始まりました。大きなプールに入ることをとても楽しみにしています。水に慣れ、水の気持ち良さを感じられるようにします。また、水の中で様々な動きをしたり、泳いだりすることを楽しめるようにしていきます。
 好きな遊びの中では自分の気持ちを動きや言葉で表しながら友達との関わりや触れ合いを楽しめるようにします。
 また、身の回りのことや衣服の着脱などの生活面では、自分のことを自分でしようとする姿が見られるようになってきています。引き続き、自分でできた嬉しさを感じられるようにします。暑い日も増え、疲れも出やすくなります。生活リズムを整え、元気に遊べるように、ご協力お願いいたします。

7月 年長ぞう組

 気温+水温が50℃以上になったらプールに入ります。水の心地良さを感じながら、「顔を水につけてみよう。」「体を伸ばしてみよう。」「浮いてみよう。」など自分なりのめあてに向かって取り組めるようにしていきます。
 好きな遊びでは、友達と数人で自分の思いを伝え合って遊びを進めていく楽しさが感じられるように、仲介したり、自分の思いを伝えようとする姿を支えたりしていきます。
 七夕飾り作りでは、貝つなぎやちょうちんなど少し難しい飾りに挑戦したり、年長なりに工夫したり、友達に刺激を受けたりしながら作ることができるようにしていきます。
 自分たちで育てている夏野菜は、生長を楽しみに水やりをしながら、収穫し食べる喜びも味わえるようにします。

6月 好きな遊びが幼児の学びに欠かせないわけ   園長  川嶋 佳恵

 入園から2ヶ月が過ぎようとしています。登園時に保護者の方から離れ難かったうさぎ組の新入園児のお子さんやことり組の子どもたちも、門の所で園長の私と挨拶をすると、保育室の前で待っている担任の所まで小走りに駆けよっていく様子が見られるようになりました。「今日も、○○して遊ぼう。」「今日は、どんな楽しいことがあるのかな。」「今日は、○○ちゃんと一緒に遊ぼう。」等子供園での生活への期待や喜びが大きくなったということですね。このような気持ちが支えになり、好きな遊びだけでなくみんなでする活動にも落ち着いて取り組むことができるようになり、それぞれの年齢に応じた経験がしっかりと積み重なっていくことにつながっています。

 さて、高井戸西子供園の教育の基本は、遊びです。私たちは、子どもたちが園生活の中で主体的に取り組む遊びをとても大事にしています。それは何故でしょう。それは、幼児が主体的に取り組む遊びの中で、自分自身でつかみ取った学びが、生涯消えることなく自分の力として、確実に積みあがっていくからです。

 当然ですが、幼児の学びには、思考力が深く関係しています。まず、幼児の学びに大きく関係する思考力について、幼児期の特性を踏まえながらお伝えし、好きな遊びがなぜ、学びに欠かせないのかをお伝えします。
 幼児の思考には、主に直観的思考と幼児なりの論理的思考があります。幼児は、どちらかというと直観的に物事を考える傾向があると思われています。例えば、遊びの中での「いいこと、考えた。」のようなひらめきや、自己中心的な見方や考え方は、直観的思考力です。しかし、遊びに向かう幼児の様子をじっくりと観察したり、幼児の言葉に耳を傾けて聞いたりしてみると、直観的思考力だけではなく、幼児なりに過去の経験や知っている知識を結び付けながら論理的に物事を考え、遊びを進めていることがよく分かります。有名なある心理学者は、直観的思考力を価値のあるものにするためには、直観的に考えたことを論理的思考力で確かめる力が必要であることを示しています。これは、幼児も直観的思考力と幼児なりの論理的思考力を使いながら遊びや生活に取り組むことで、学びが深まるということだと考えます。
 また、幼児は、体を動かして遊んだり、友達と笑い合ったり、喧嘩をしたりしてする等の直接的体験の中で生まれた、知的好奇心によって思考が活発になり、試行錯誤を繰り返すことで、思考活動が展開されると言われています。はじめは、何気なく行い、失敗を繰り返す中で、偶然に成功したことで、「あれ、どのようにしたらこうなったのだろうか」ということを考えるようになり、思考を巡らせることで、学びにつながっていくのです。
 さらに、幼児期は、自分の興味・関心に応じて思考を働かせる時期なので、感性の発達と知性の発達は分けることができないのです。つまり、情操教育と思考の教育を切り離して実施すべきではないということです。例えば、幼児期に、思考力を身に付けさせたいからと言って、思考力に特化したドリルなどを訓練的にさせることは、適切ではありません。
 なぜなら、幼児は、興味・関心に応じて思考を働かせ、直接的な体験の中で知的好奇心によって思考が活発になるからです。また、幼児は、もともと、与えられた知識を受け入れるだけの受け身的な存在ではなく、積極的に自ら知識を求めようとする能動的な存在です。
 以上のことから、幼児が学びを確実なものにする活動は、直接的体験の中で、自分の興味・関心や知的好奇心に基づいた、主体的な活動でなければなりません。このような条件を満たす活動が、主体的に取り組む遊び(好きな遊び)です。だから、好きな遊びが幼児の学びには欠かせないのです。

 高井戸西子供園は、園庭が広く、たくさんの種類の草花や実りの多い木々、様々な虫など、都会での生活とは思えないほどの豊かな自然環境の中で、子どもたちは、主体的に四季折々の草花や虫たちと戯れたり、友達と一緒に思い切り体を動かしたりして遊んでいます。また、保育室内には、年齢や発達に応じて工夫された遊具や教材(基本的には、既成のおもちゃではなく、幼児が少し手を加えれば、なんにでも見たてられるような素材や材料、遊具や道具等)が豊富に準備してあり、子どもたち一人一人が興味・関心に基づいた遊びに自ら関わり、思い切り笑ったり、自分の思いを表現したり、友達と関わり合ったりしながらたくさんの学びをつかみ取っていきます。
 高井戸西子供園では、まだまだ続くコロナ禍においても、感染予防を十分に行いながら、遊びを中心とした楽しくてかけがえのない時間を大切にし、子どもたち一人一人が、「面白かった」 「楽しかった」 「また、明日もやりたい」と思いながら、たくさんの学びをつかみ取っていけるよう質の高い教育・保育に尽力してまいります。

6月 年少ことり組

 朝や帰りの身支度、お弁当の準備など、身の回りのことを自分でやろうとする姿が見られ、自分でできたことの嬉しさが、次への意欲につながっていく様子が見られるようになってきました。みんなでする活動の時間には、保育者や他の幼児と音楽に合わせて一緒に体操をしたり、歌を歌ったりすることもとても楽しみにしています。引き続き、自分のやりたい遊びを繰り返し楽しむ中で、保育者や周りの幼児と一緒に過ごす楽しさも味わえるようにしていきます。
 今月は、水遊びが始まります。水遊びを通して、水の感触や心地よさを感じられるようにし、プール遊びを楽しみにできるようにしていきます。砂場遊びでも水を使った泥遊びをたくさん楽しんでいきます。遊んだ後は、汚れた手足を洗ったり、着替えたりすることも繰り返しの中でできるようにしていきます。

6月 年中うさぎ組

 製作や場づくりなど、自分のやりたいことを見つけて遊ぶことや、その中で友達と一緒に同じものを持ったり、同じ場で遊んだりする楽しさを感じています。おうちごっこやお店屋さんごっこなど、つもりになって遊ぶ姿も見られるようになってきました。
 今月は、自分のやりたい遊びに取り組む中で、いろいろな素材や遊具を使って遊ぶ楽しさを感じられるようにしていきます。自分なりの思いや動きを出すことで、思いがぶつかり合い、トラブルになったりする様子も見られるようになってきているので、保育者がお互いの話をよく聞き、思いを受け止めて言葉にしながら、それぞれの思いを伝えていきます。
 プール指導が始まります。水の心地よさや感触を楽しんだりしていけるようにしていきます。一人で水着に着替える、髪や体を拭くなど、自分でできるようにご家庭でも練習してみてください。

6月 年長ぞう組

 やりたいことを見付けてじっくり取り組んだり、気の合う友達と一緒に共通のイメージをもって遊ぶことを楽しんだりしています。伝えたいことや分かってほしいことが増えてきて、友達同士でのやりとりも増えてきました。その分、思うように自分の思いが伝わらないもどかしさや葛藤を感じている様子も見られます。
 今月は、自分の思いを言葉で伝え、相手に伝わる嬉しさが感じられるようにしていきます。また、一方的に自分の思いを伝えるだけでなく、友達の思いにも気付くことができるようにお互いの思いを引き出し、聞き合うことができるようにしていきます。
 プール指導が始まります。水の中で動いたり、遊んだりする中で、気持ち良さや解放感が味わえるようにしていきます。