令和3年度 園便り

11月 年長者の使命

 10月半ば頃より急に気温が下がり、園庭の木々も色付き始め、秋の深まりを感じる季節になりました。それに伴い、登園時の子どもたちの服装も厚着になってきました。一方で、子供園での子どもたちは、薄着で園庭を駆け回ったり、ドッジボールをしたり、鬼ごっこをしたり等元気いっぱいに過ごしています。子どもは風の子ですね。
 高井戸西子供園では、何十年も前から寒い季節になっても半ズボン・7分ズボンで過ごすことを奨励しています。長い靴下を履いてもいいのですが、少し空気に触れる肌の部分が出ていることで、体温調節能力が身に付いたり、健康的な体を作ったりします。病み上がりであったり,雪が降っている等何らかの事情で、長ズボンを履く必要がある日以外は、寒くても半ズボン・7分ズボンで元気に過ごしましょう。


 さて、園生活の中で、様々な場面で年長さんが、年中や年少の子どもたちに、自分たちが今までの経験の中で得た知識や知恵を教えたり伝えたりする場面をよく見かけます。例えば、おうちごっこをする時に、よく、長方形の積み木を横長に置いて囲っておうちにすることがあります。囲いとして使う分には問題がないのですが、その上にのってしまうと、ぐらぐらして、パタンと倒れてしまい、危険です。しかし、年中児、年少児の中には、ついついそこにのってしまう子どもたちがいます。年長児がその様子を見つけると、「そこにのったら危ないよ。ぐらぐらするでしょ?のりたいなら、こんな風に積まないと危ないよ。」と言って積み木の面の広い部分を底にして、先ほどと同じ高さになるように、もう一つ同じ形の積み木をもってきて、重ね、安定した、そして、先ほどと同じ高さの囲いの作り方を教えます。「ほら、ぐらぐらしないでしょ?」と嬉しそうに微笑む年長児と、上にのっても安定している囲いに満足な年中児。こんなやり取りは、子供園の中では、良く見られます。年長者である年長組の子どもたちが年少者である年中児や年少児に自分の知恵を教えたり伝えたりして、様々な知識が伝わっていきます。先生が教えるだけではなく、生活の中で幼児同士の自然な関わりの中で伝わっていく知識もたくさんあるのです。

 少し前の話ですが、管理職の研修がありました。その中で、東京都のある区でのイベントで起こった火災で5歳児が亡くなるという悲惨な事故についてのお話を聞く機会がありました。
 『火災現場となったのは、優秀な大学生が作ったオブジェで、ライトアップされた木製のジャングルジムであった。木製のジャングルジム自体はとても頑丈で精巧にできており、火災の後でも形はほとんど残っており、それ自体は、あまり燃えてはいなかった。燃えたのは、その木製のジャングルジムの下に、万が一落下した時の衝撃防止のために敷き詰められた大鋸屑(おがくず)であった。「敷き詰められた大鋸屑」そして、そこにライトアップのために「強いライトが当てられた」ことで、発火し、燃えやすい大鋸屑に瞬く間に火が燃え広がって、大惨事になりました。「大鋸屑が燃えやすい」ということや「そこに強いライトを当てたらどうなるか」ということを自分たちのような年長者であれば、誰でも予想できたことであった。あの場面で、誰か、年長者がいたら、きっと、「大鋸屑にライトを当てることは、危ない、火災になるかもしれないから、やめた方がいい。」と注意、助言したはずである。しかし、あの場に、その知識がある人がいなかった。頑丈で、壊れないジャングルジムを設計し、作ることのできる能力の高い大学生だけれど、その知識はなかった。この火災は無知が引き起こした人災であった。私たち年長者は、自分たちがかつて、年長者から教えてもらった様々な知識や知恵を自分よりも年齢が下の人たちに教えていかなければならない。それは、学校や園の経営・運営においても同じで、校長・園長の大きな役割である。』という話でした。

 無知は、時に大きな人災を引き起こします。私も園長として、若い先生たちや保護者の皆様、そして子どもたちに、今持っている知識や知恵を伝えていくという使命があると強く思いました。そして、その使命は、私だけでなく、みんなにもあると思います。みんなとは、職員、保護者の皆様、子どもたちすべての人です。人は、だんだん経験を重ね、誰かの年長者となります。自分が得た知識や知恵は、教えていかないと伝わりません。大袈裟なことではなく、一人一人が、生活の中で、「○○はこうするといいよ。」「こうすると危険だから、○○した方がいいんだよ。」と自分の当たり前の知識や知恵が、みんなの当たり前の知識や知恵になるように伝えていくという使命感をもって生きていけたら、もっともっと素敵な社会になるのではないでしょうか。

11月 年少ことり組

 初めての運動会では、みんなで体を動かすことを楽しいという気持ちが感じられました。運動会後は繰り返しみんなで走ることを楽しんだり、他学年の玉入れや大玉転がしの競技をやってみたりして、異年齢の幼児に憧れをもっていました。
 保育室では、紙やセロハンテープ、空き箱、京華紙など色々な素材を使って作ることが楽しくなってきています。動物を作ったり、お面を身につけて何かになったりして遊んでいます。
 今月は散歩に行って木の実を集めたり、園庭の落ち葉を集めたりして身近な秋の自然に触れ、遊びに使って楽しめるようにします。

11月 年中うさぎ組

 運動会を経験し、身体を動かすことやみんなと一緒にリズムに合わせて表現することを繰り返し楽しんできました。運動会後は年長組のしていた競技やリズムをやってみたり、世界の国の世界観を感じて遊んだりすることを楽しんでいます。
 今月はルールのある遊びを学級みんなで一緒に楽しんだり、イメージしたものを様々な材料や方法で作ったりして、友達との遊びを楽しめるようにしていきます。さらに、その中で自分の思いを言葉や動きで表現する楽しさが感じられるようにしていきます。
 また、子ども会に向けて役になって動いたり、やり取りをしたりする楽しさを感じられるようにしていきます。

11月 年長 ぞう組

 運動会を経験し、一人一人が思い切り体を動かし、力を出し切った達成感や、友達と一緒に力を合わせる楽しさを経験することができました。友達と一緒に遊びたい、何かをやりたいという気持ちが強くなってきています。
 今月は、友達と考えやイメージを出し合いながら一緒にごっこ遊びを楽しめるようにします。また、子ども会に向けて仲間と一緒に準備を進めていきます。お話のイメージを共有しながら、友達と一緒に必要なものを作ったり、自分なりに役の気持ちを考えて表現したりしていきます。友達と一緒に考え合ったり、友達の良さに気付いたりする経験を大切にしながら、学級の仲間と一緒に劇を作り上げていく達成感や満足感を味わえるようにしていきます。
 戸外では、ドッジボールや、鬼遊びなど、自分たちでルールを守りながら、思い切り体を動かす楽しさを味わえるようにしていきます。また、秋の自然にも興味をもちながら遊びに取り入れる楽しさを感じられるようにします。

10月 なぜ幼児期に体を動かすことが大切なのでしょう? 副園長 川副 園美

 立秋を過ぎたのに、夏が戻ってきたような日が続いています。子ども達は暑さのことなど気にならないようで、体を動かして遊ぶことを楽しんでいます。
 さて、今回の園だよりは、なぜ幼児期に体を動かすことが大切なのか、幼児期運動指針からの抜粋を含めながらお伝えしたいと思います。
 社会環境や生活様式の変化から、体を動かして遊ぶ機会が減少しています。そのため、多様な動きの獲得の遅れや、体力・運動能力の低下だけでなく、運動・スポーツに親しむ資質や能力も低下してきています。また、意欲や気力の減弱、対人関係などコミュニケーションをうまく構築できないなど、子どもの心身の発達にも重大な影響を及ぼすことが懸念されています。
 幼児期において、体を動かす遊びを中心とした身体活動を十分にすることは、基本的な動きを身に付けるだけでなく、生涯にわたって健康を維持し、積極的に活動に取り組み、豊かな人生を送るための基盤づくりとなります。楽しく体を動かす遊びは、生涯にわたって運動・スポーツを楽しむための基礎的な体力や運動能力を発達させ、様々な活動への意欲や社会性、創造性などを育む機会を与えてくれます。
 また、1日に60分の運動(体を動かす遊び)を行うことが提唱されています。60分という時間は絶対的なものではなく、運動量を確保するための目安です。子供園、幼稚園や保育所などの集団生活の場だけではなく、家庭での日常的な身体活動(歩く、階段の上り降り、公園の遊びなど)も含めて体を動かす機会を増やすことが大切だと言われています。
 以前、小学校と運動遊びの研究をしていた時に、講師の先生から「学校の授業のように一律に指導を受けるより、主体的に幼児・児童が体を動かすことの方が、運動量が多く、運動能力も育ちやすい」ということを学び、子供園での遊びの大切さを実感したことがあります。小学校の授業も『宇宙旅行』と称し、イメージで動く(遊ぶ)中でバランス感覚や体感の育ちに向かうことを大切にしていました。その姿から、子どもが自己決定し、動く楽しさやできるようになった嬉しさを感じていく中で、有能感を高め、人やモノとの関係性を育んでいくことが大切だということが分かりました。
 上記のことから幼児期に体を動かすことの大切さは伝わったでしょうか?体の発達については詳しくは述べませんが、スキャモンの発達曲線は、生涯にわたる運動に関する能力のほとんどが、小学校の低学年くらいまでに育つことを示しています。なので、体を動かすことを楽しむ体にしておくことは
‟ 今”なのです。詳しいことを知りたい方は、「スキャモンの発達曲線」を検索してみてください。
 オリンピックイヤーの今年、先生たちは年長組が始めたオリンピックごっこを上手に保育に取り入れながら、遊びの時間や、みんなでする活動の中で体を動かす遊びを楽しめるように工夫しています。なので、子ども達は、運動会の練習ではなく、毎日オリンピックごっこを楽しみながら、自然に体を動かす経験を積み上げています。新型コロナ感染症の対策として、学年ごとの運動会開催となりますが、年長組の動きに刺激を受け、年中・年少組もはりきっています。運動会が楽しみですね。

10月 年少ことり組

 運動会は、ことり組にとって初めての大きな行事です。普段楽しんでいる体操や巧技台などを使った活動を、学級の友達やおうちの方と一緒に体を動かして楽しみたいと考えています。特にかけっこでは、同じ学級の幼児と走る気持ちよさを感じています。また、ぞう組やうさぎ組のしていることを見て、「すごいな〜」「やってみたいな〜」と興味関心をもち、憧れの気持ちももてるようにしていきます。

 園庭や近隣の公園に行って秋の自然にもたくさん触れる機会を作っていきます。木の実や落ち葉を集めたり、ごちそう作りなどに使ったりしながら、遊びの楽しさを広げていきます。

10月 年中うさぎ組

 いよいよ今月は運動会があります。さまざまな国の踊りに触れて、うさぎ組のみんなで踊ることを楽しんだり、走ったり、投げたりする経験を重ねています。
 日々の遊びの中で取り組みを積み重ねていき、体を動かす心地良さを感じられるようにしていきます。

 秋の遠足では、初めて保育者や友達とバスに乗ったり、広い場所でみんなと一緒に遊んだりした経験を、遊びの中で表現することが楽しいと思えるように援助していきます。
 運動会や遠足で楽しかったことを再現したり、秋の自然に触れたりして、友達と一緒に遊ぶ楽しさをたっぷりと味わえるように支えていきます。

10月 年長ぞう組

 運動会に向けて、走る・踊る・守るなど様々な動きの経験や、友達と気持ちを合わせて動こうとする経験をしています。思い切り体を動かし、力を出し切る達成感や、友達と一緒に力を合わせる楽しさを味わえるようにしていきます。また、運動会への取り組みの中での経験を通して、自信がもてるようにしていきます。

 秋の遠足では自然に興味をもって関わったり、自然の中で体を動かす楽しさを感じたりできるようにします。