令和4年度 園便り

1月 みんなのしあわせを創るために  園長 川嶋 佳恵

 謹んで新春のお喜びを申し上げます。皆様お揃いで、穏やかな新年をお迎えのことと存じます。今年は、うさぎ(卯)年です。昨年の寅年は、「成長」や「始まり」の年であり、「芽吹いたものが成長する、目立つ年」でしたが、うさぎ年は、「芽を出した植物が成長していき、茎や葉が大きくなる時期」で「目に見えて大きく成長する年」なのだそうです。また、うさぎはとびはねることから、「飛躍」の象徴とも言われています。これまで新型コロナウイルス感染症の流行が慢性化し、感染対策をしながらの生活が続きましたが、コロナ禍においてみんなが耐え忍び、努力しながら蓄えてきたものが飛躍的に成長すると信じたいですね。
 12月には、教育調査にご協力いただきまして、ありがとうございました。詳しい調査結果に関しては、後日、各項目の数値を分析したものや自由記述に対するお答えを記したものをお配りする予定です。
 さて、教育調査の項目の中に特別支援教育に関する項目がありました。この項目に関しては、なかなか保護者の皆様には分かりにくいようで、「あまりそう思わない」や「回答不能」の欄に○を付けた方も多数いらっしゃいました。そこで、子どもたちの発達の特性に関する情報として保護者の方にお伝えできることはないかと考え、ここでは、子供園の特別支援教育についてお伝えしたいと思います。
 杉並区では、「みんなのしあわせを創る杉並の教育」をめざし、様々な教育に力を入れており、特別支援教育もその一つです。子供園でも発達面や情緒面で何らかの躓きがあっても、学級の中で、友達や保育者と関わったり、共に生活したりすることで、成長し、学級の一人ひとりが互いのちがいを認め合いながら自分らしく生きていけるよう教育・保育に取り組んでいます。日々の保育の中では、担任を中心に子供園保育士や介助員がフォローに入り、個々の特性に応じた関わりをしながらみんなと一緒に様々な経験を重ね、就学前には、自立できるようにそして、必要な時には、助けを求めることができるよう、支援・援助を行っています。しかし、特別支援教育は、支援を受けるお子さんだけに向けたものではないのです。支援を必要とするお子さんと一緒に生活する学級の子どもたちの心や様々な人に関わりながらちがいを認め合い共に生きる力を育てることも大切にしています。
 かつて、私が担任だったころ、感情のコントロールが難しいお子さんを受け持ったことがありました。穏やかに過ごしている時は、友達との関わりも楽しむのですが、思い通りにいかないことがあると、大きな声を出したり、手が出てしまったりします。周りの子どもたちは、そのような状況になると、「どうしたんだろう」と心配して、集まってきます。気持ちが収まらない状態のその子は、集まってきた子どもたちに乱暴な言葉を言ったり、手足をばたつかせたりします。その子は、苛立つ感情を自分では止められない特性を持っていました。私や介助の先生は、その子の気持ちを受け止め、嫌だった気持ちに共感し、気持ちが落ち着ける場所に移動して、状況を受け入れられるよう様々な援助を工夫しました。それと同時に、学級の子どもたちにも、その子は気持ちを落ち着かせるためには、少し時間が掛かるということやそういう時は、そっとしておいてあげてほしいことなどその子の特性を分かりやすく伝えました。そして、私自身、子どもたちがその子に接するときのモデルとなるように関わり、本人が頑張れた時には具体的にたくさん認めて良さをみんなに知らせました。また、その子を仲間として大切にしてあげてほしいという気持ちをいつも伝えていました。
 年長の2学期の終わりに劇遊びに取り組む機会がありました。劇の取り組みが始まった頃、その子は、ふざけることによる注目行動を繰り返し、劇がうまく進みませんでした。同じ劇に出る子どもたちは、自分たちなりに考え、注目行動に対しては、あえて気にしないようにし、その子の出番が来ると、声をかけたり、セリフを教えたりして劇を進めていきました。しかし、なかなか皆が思っているようには動いてくれませんでした。ところが、発表まであと1週間になった頃、その子が、突然、自分から役になってセリフを言ったり、お話に合わせて動いたりしたのです。私は、心から嬉しくて、褒める言葉を掛けようとしたのですが、それより先に周りにいた子どもたちが口々に「○○ちゃん、上手にできたね。すごいね。」「頑張ったね。」と笑顔で声を掛けたのです。私は、その子の成長や頑張りがとてもうれしかったのですが、それと同様に学級の他の子どもたちが、その子を大切に受け入れ、私と同じようにその子の成長を心から喜んでいる姿がうれしくて、胸がいっぱいになりました。
 子供園がめざしている特別支援教育は、支援を必要とする幼児自身が自分の特性を知り、できることは、自分で頑張り、できないことは、助けを求めながら社会の中で生きていく力を身に付けられるようにすることと同時に、学級の一人ひとりが、周りにいる友達の特性や個性を理解し、受け入れ自然に見守ったり、助けたりしながら、様々な人と共に生きていく力を育てる教育です。支援を必要とする子どもたちも、共に生活する子どもたちも、それぞれに必要な力を身に付け、大人になって社会の中でもみんなが、自然に相手の個性やちがいを受け入れ、互いに尊重した関わりができるとようになると、みんながしあわせで素敵だなぁと考えます。3学期もみんなのしあわせを創る教育が実現できるよう職員一同、力を合わせて頑張ります。

1月 年少ことり組

 1月は、手回しコマや凧揚げ、カルタなど簡単なお正月遊びをしたり、氷や霜柱など冬ならではの自然に関わって遊んだりする経験も大切にしていきます。
 2月には「子ども会」があります。遊びの中で、色々な役になって動いたりみんなと一緒にお話の中で動いたりすることを楽しんでいきます。また、楽器に興味をもち、学級で親しんでいる歌に合わせてリズムを感じながら楽器を鳴らすことを楽しんでいきます。
 戸外では、しっぽ取りなどをして、友達や保育者と一緒に体を動かしながら簡単なルールのある遊びを経験していきます。

1月 年中うさぎ組

 1月は、カルタやすごろくなどのお正月遊びを繰り返し楽しむ中で、ルールが分かって友達と遊ぶ楽しさを感じられるように支えていきます。また、引きコマ回しを繰り返し楽しむ中で、コマが回せた喜びも感じられるようにします。
 2月の「ミニミニコンサート」に向けて学級の友達と一緒に歌ったり、楽器遊びをしたりする中で、声や音を合わせる楽しさや心地よさを味わえるようにしていきます。
 寒さに負けず、鬼遊びやボール遊びに取り組み、戸外で元気に体を動かして遊ぶ楽しさを感じられるようにしていきます。また、氷や霜柱など、冬ならではの自然を発見したり、みんなで見たりする経験も大切にしていきます。
 3学期は年長組からお休み調べやモルモットの世話などの仕事を引き継いでいきます。憧れの気持ちや、進級への期待感をもてるように支えていきます。

1月 年長ぞう組

 子供園生活最後の3学期が始まります。友達と一緒に十分に遊び楽しむ中で、一人ひとりの成長を支えていきます。
 今月は、友達とのお正月遊んだり戸外で体を動かして遊んだりすることを楽しめるようにします。お正月ならではのカルタやトランプ、すごろくなどの遊びをしながら、文字や数字への興味・関心がもてるようにしていきます。投げコマ回しでは、繰り返し挑戦する中で、手先を使ってひもを巻いたり、力の加減をしながらコマを投げたりする経験をし、できなくても諦めずに取り組み、回せた達成感を味わえるようにします。また、友達同士で励ましあったり認め合ったりする姿を大切にしていきます。

12月 心の通い合いの大切さ  副園長 大萩 純子

 園庭の木々が赤や黄色に色付いてきました。秋のやさしい日差しの中で大きな木々から、はらはらと舞い降りる落ち葉の下で、子どもたちは思い思いに様々な遊びを楽しんでいます。
 きれいな落ち葉を思わず拾った子どもは、担任の先生に駆け寄り「見て!見て!きれいでしょ」と微笑み、「ほんとだね、すてきだね」と応じる先生と共感しあっていました。  
 このような姿は、些細なことのようですが、とても大切なことです。自分が感じた気持ちに応じてくれる存在、そして、共感してくれる存在は子どもたちにとってうれしいことですし、心の安定につながります。「また伝えたい!」という意欲のきっかけにもなります。きっと家庭でも、ご家族が繰り返しそのような心の通い合いを大切にされていることでしょう。
 そして経験が積みあがるごとに、子どもたちの心の通い合いは広がっています。先月の園だよりの巻頭言では園長先生が運動会後のリレーの様子をお話されていました。  
 年長児の姿に憧れて好きな遊びの時間に年中児から始まったリレー遊びは、今も続いています。年長児も加わって楽しむようになると走力や互いに応援しあうにぎやかな様子も増しています。これほど断続的に楽しめることに、感心してしまいます。先日は、「グーとパーでチームに分かれようよ」と年長児が誘っていました。年中児は不慣れな様子ながら応じて、共に円陣となり、わくわくとした表情で「グッとパーで分かれましょ!」「分かれましょっ!」と繰り返し声を合わせていました。けれど何度繰り返しても年長児が思ったように2チームには分かれないようです。私はどうなることかしらと、はらはらしながら見ていましたが、しまいには年長児の中から「じゃあさー、グーとパーで分かれるのはやめて・・・、始めちゃおうかー!」との声がかかりました。すると、みんなは、ささっと何事もなかったかのように2つチームに並んで、笑顔のリレーが始まったではありませんか。年中児には、グーとパーで分かれるのは難しいし、人数も多いから無理なんだな・・・と、年長児は察したようです。とにかく走るのが楽しいことでは心が通い合っているのでしょう。文句を言う子どもは1人もいませんでした。このような、たわいもないような遊びの中で、子どもたちは、心の通い合いの心地よさを感じ、やがては、人との関わり方を学んでいるのだろうと私は思いました。
 他には、お店屋さんごっこや素敵な踊りごっこを楽しんでいる年長児からは、「次は、ことり組(年少児)や、うさぎ組(年中児)を呼ぼうよ!」の気持ちが湧いていました。すると、事前に担任から受けた“お客さんをもてなすには何がいるかな?”などの問いかけを基に、様々に考えを巡らした子どもたちは、仲間と相談をし、一緒に声を合わせて誘いに行っていました。そして呼んでもらった子どもたちは、その都度とてもうれしい気持ちを味わっていました。このようなうれしい気持ちの通い合いは、後日、年中児が「今度は、僕たちもしたい!」との思いで年少児を招く意欲に伝播していました。  
 もちろん、子どもたちの生活には、すんなりと心が通わないこともあります。思いがけないことに出くわして困ったり、悲しんだり、くやしかったりすることもあります。子供園で、様々な気持ちを経験するからこそ、子どもたちには他者と心通わすことの大切さを、感じて心豊かに育っていくことを願っています。

12月 年少ことり組

 少し肌寒くなってきましたが、元気いっぱい園庭に飛び出し、園庭の落ち葉を砂場の具材に見立て料理を作ったり、友達と一緒に走って体を動かしたりすることを楽しんでいます。また場を作ることも楽しくて、その場にいる他の幼児と一緒に、簡単なやり取りをしたり、一緒に動いたりすることを楽しんでいます。
 今月は、簡単なルールのあるゲームをしたり、楽器遊びをしたりして色々な経験ができるようにします。また少しずつクリスマスに向けた製作にも取り組んでいきます。
 寒くなり上着を着るようになってきたので、裏返しになった袖を元に戻したり、ファスナーやボタンを自分でしたりできるようにします。また、寒さに向かう時期ですが、戸外で体を動かす遊びもできるようにしていきます。

12月 年中うさぎ組

 気温が下がり肌寒い季節になってきました。園庭では、エンドレスリレーや助け鬼、転がしドッジボールなど、思い切り体を動かして遊ぶことを楽しんでいます。また、園庭や保育室に家を作って、友達に自分の思いを出しながら一緒に遊ぶ楽しさを感じています。
 今月は、自分の思いを言葉や動きで表しながら、友達とやり取りをして遊ぶ楽しさを感じられるようにしていきます。
子ども会では、動物になって動いたり、簡単なセリフを言ったり、劇遊びに必要なものを自分たちで作ったりしながら表現する楽しさをたくさん感じられるようにしていきます。
 友達と遊びたい思いが強くなってきた分、思いがすれ違ったり、言葉でどう伝えてよいか分からずもどかしい気持ちを感じたりと、葛藤する姿も見られるようになっています。
 自分の思いを出し、友達の思いに気付いていくことができるように友達との関わりを支えていきます。

12月 年長ぞう組

子ども会に向けて仲間と一緒に劇の取り組みを進めています。お話のイメージが共有されてきて、友達と一緒に必要なものを作ったり、自分なりに役の気持ちを考えて表現したりしています。その中で、友達と一緒に考え合ったり、友達の良さに気付いたりする経験を大切にしています。また、自分の登場する場面だけではなく、他の場面でも役割をもつことで自分たちの劇という意識をもって取り組んでいけるようにしています。学級の仲間と一緒に劇を作り上げていく達成感や満足感を味わえるようにしていきます。
 戸外ではドッジボールや鬼遊びなど、自分たちでルールを守りながら友達と一緒に思い切り体を動かす楽しさを味わえるようにしていきます。
 今月は、クリスマスや年の瀬など季節の行事もあります。行事の意味を知り、季節ならではの遊びや製作を楽しんでいきます。また、生活に見通しをもち、自分たちで生活を進めていく気持ちが育っていくように支えていきます。