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令和7年度 園便り
つくって遊ぶ楽しさの中で 副園長 大萩 純子
「みてみて、おもしろいな。」「私もつくってみたいな。」「こんなふうにつくりたいから、〜してみたい。」これらは、子どもたちからよく聞こえてくる言葉です。目を輝かせ、何かをつくることに楽しさを感じているのです。
つくることには、造形行為(素材そのものを味わう、素材とのかかわり等)と表現行為(素材の吟味や試行錯誤、表したい何かを実現しようと工夫する等)とがあり、その行為の繰り返しの中で、子どもたちは、つくる喜びや遊ぶ楽しさを感じていくのです。
幼稚園教育要領の中の感性と表現に関する領域「表現」には、“感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。”とあります。
年少組では、5月下旬頃から、いろいろな色の柔らかい紙(京花紙)を先生が出したことから、子どもたちはその中から好きな色を選び、きゅっと丸めるようにしてジュースに見立てて遊んでいました。また、園庭の大きな木から落ちてきた、オレンジ色のアンズの実を拾って触った感触を楽しんだ後、先生と一緒に柔らかい紙を丸めてアンズをつくることを楽しむ子がいました。保育者と「おいしいね。」と言って共感し合ううちに、子どもたちは、自分でつくった物で遊ぶ嬉しさを感じていました。
年中組では、保育者が空き箱で製作したネコを登場させながら『ニャニュニョの天気予報』というネコが出てくる歌詞の歌を紹介していました。すると子どもたちは、そのネコにとても親しみを感じていました。その後は、ティッシュペーパーの箱に小さな筒の芯を付けて足にし、思い思いにかいたかわいいネコの顔を付けて遊びだしていました。やがて段々と「わたしも、それをつくりたい」といった気持ちがクラスの中に広がり、今では、子どもたちがつくったネコはたくさんになり、大賑わいです。抱っこしている子、リードを付けてテラスや園庭にお散歩に連れていく子など、さまざまな思いを表現し始めています。つくりながら、ただその素材を扱って形にするだけでなく、自分でつくったネコへの愛しい気持ちを表現しています。
年長組では、地域のほたる祭りに行った子たちの中から縁日で経験したお店をしようということになりました。焼きそば屋さん、りんご飴屋さん、スーパーボールすくい屋さん等、つくりたいことがいくつも湧き出てきていました。製作コーナーから素材を取り出してつくり始めました。さらに仲間同士で考え合い、製作コーナーに思いついたものがないと「こういうのがほしいんだけれど」と、保育者に伝えている子も出ていました。思いついたものに見合った素材を手にすると、仲間と一緒につくり始めていました。丁寧に焼きそば麺を切る子、りんご飴をつくるために、紙を柔らかくもんでから丸く包む子など、つくりたい物をイメージして表現していました。そして、お店を開店すると、お客さんとのやり取りも繰り返し楽しんでいました。
このように、つくって遊ぶ中で、年少組では“新たな素材に出合い、遊ぶものがつくれる楽しさを感じる”、年中組では“自分から興味をもってつくったもので自分なりの思いを出して遊ぶことを楽しむ”、年長組では“つくりたいものを実現するために、自分で、或いは仲間と考えたり工夫したりしていき、つくったもので遊ぶ楽しさを味わう”といったことを経験していました。これらの経験は、子どもたちの豊かな感性や表現する力を養い、やがて創造性を豊かにしていくことにつながります。
今後も子供園では、子どもたちがつくることを楽しむために、遊びの中で、各学年の発達や子どもたちの興味・関心に適した素材との出合いを大切にしながら、つくることを楽しむ中で感じたことや考えたことを表現する喜びを感じられるようにしていきます。
≪年少ことり組≫
水遊び・プールが始まり、水で遊ぶことを楽しみにしています。水遊びやプールでは水の冷たさや気持ちよさを感じたり、水の中で動いて遊ぶことを楽しんだりします。また、夏野菜の水やりもしています。学級で育てている夏野菜が大きくなったことに気付いて知らせてくれています。収穫する喜びや、野菜の美味しさを感じられるようにしていきます。
生活面では、着替えの機会が多くなっています。着替え方を知らせながら、自分でやってみようと思えるように支えていきます。自分でやってみたらできたという嬉しさに共感し、次も自分でやってみようと思えるようにしていきます。
暑い日や水遊びをした後は、疲れも出やすくなります。子どもたちが子供園で元気に遊べるように、ご家庭では十分な睡眠をとることや朝ご飯を食べて登園するなどのご協力を、引き続きよろしくお願いいたします。
≪年中うさぎ組≫
プール・水遊びが始まりました。大きなプールに入ることをとても楽しみにして、喜んで参加しています。水の中で動物のつもりになって歩いたり、宝拾いで動いたりと、水の気持ちよさを感じながら動く遊びを取り入れています。
遊びでは、保育者や気の合う友達と触れ合ったり関わったりして遊ぶ楽しさを味わえるようにしていきます。身の回りのことや衣服の着脱などの生活面では、自分のことを自分でしようとするようになってきました。引き続き、自分でできるところは見守り、自分でできた嬉しさを感じられるようにします。
暑い日が増えたことや、プール活動をしていることで、普段より体力が消耗しやすいようです。ご家庭では食事と睡眠を十分にとって体調を整えていただきますようご協力をお願いいたします。
≪年長ぞう組≫
プール・水遊びが始まりました。水の心地よさを感じながら、「顔を水につけてみよう。」「体を伸ばしてみよう。」「バタ足をしてみよう。」など、自分なりのめあてに向かって取り組めるようにしていきます。
また、遊びの中で、友達と数人で思いを伝え合いながら進めていく楽しさが感じられるよう、自分の思いを言葉で伝えようとしたり、友達の思いを受け止めようとしたりする姿を支えていきます。
自分たちで育てている夏野菜も、次々と収穫の時期を迎えます。みんなで食べる喜びも味わえるようにしていきます。
プール・水遊びをしたり、蒸し暑くなったりし、疲れが出やすい時期となります。生活リズムを整えて、子どもたちが元気に過ごせるよう、ご家庭でもご協力をお願いいたします。
≪年長ぞう組≫
大型積み木での場づくりやごっこ遊び、砂場での泥んこ遊びなど、それぞれがやりたいことを見付けて楽しんでいます。その中で、気の合う友達と共通のめあてをもって遊びを進めたり、「○○したらどう?」と一緒に遊ぶ友達同士で思いを言葉で伝え合おうとしたりする姿も見られるようになってきました。その分、思うように自分の思いが伝わらないもどかしさや葛藤を感じている様子も見られます。
今月は、自分の思いを言葉で伝え、相手に伝わる嬉しさが感じられるようにしていきます。また、一方的に自分の思いを伝えるだけでなく、友達の思いにも気付き、聞き合うことができるようにしていきます。
プール遊びでは、約束を思い出し守りながら、水の中で動く気持ち良さや開放感が味わえるようにしていきます。
≪年中うさぎ組≫
園庭で過ごすのが気持ちの良い日が続いています。うさぎ組の子どもたちは、オオカミのお面をつけて引っ越し鬼をしたり、砂場で水を使って遊んだりすることを繰り返し楽しんでいます。その中で、友達がしていることに興味をもったり、友達の動きを感じたりして一緒に遊ぶようになってきました。関わる中で、自分なりの思いや動きを出そうとしていますが、思いがすれ違うこともあり、丁寧に聞き取りながら互いの思いを知らせています。
今月は、自分のやりたい遊びをする中で、自分の思いを動きや言葉で表現しながら遊ぶ楽しさを感じられるようにしていきます。保育者が互いの思いを受け止めて言葉にし、それぞれに思いがあることに気付けるようにしていきます。
今月よりプール指導が始まります。水の中で動いて遊び、水の心地よさや感触を楽しめるようにしていきます。
≪年少ことり組≫
園生活に慣れてきた子どもたちは、身支度やお弁当準備の仕方等が分かり、自分なりに進めるようになってきています。追いかけっこやミニトランポリン、トンネルくぐりなどの、体を動かして遊ぶことや、ウレタン積み木でおうちや乗り物を作って教師や他の幼児と同じ場で過ごすことを楽しむことも増えてきています。砂場では水を使って泥遊びをする楽しさも感じています。今月も遊具や素材を用意し、幼児が自分から遊びを見つけて楽しめるようにしていきます。
今月は、水遊びが始まります。水遊びを通して、水の感触や心地よさを繰り返し感じられるようにしてきます。そしてプール遊びも楽しめるようにしていきます。
自立の一歩〜自分でやりたい気持ちから〜 園長 石床 美穂子
4月、5月に学年ごと保護者会と親子で遊ぼうを行いました。土曜日の参観でしたが、多くの方々にご参加いただきまして、ありがとうございました。「園での様子を見ることができてよかった。」「楽しそうにしていて安心した。」「保護者同士が集えてよかった。」等の感想をいただきました。また、いくつかご意見もいただきましたので、次回に生かして参りたいと考えています。
保護者会では、園長から園の経営について、各学年の担任から今年度の教育・保育についてお伝えしました。それぞれの学年の発達にふさわしい援助を積み重ねていき、“子どもたちが主体的に環境に関わり遊びの中で様々なことを学ぶこと”“基本的生活習慣を身に付け自立すること”など、生きていくための基礎の力を育んでいけるように、子どもたちを支えていきます。
今回の園だよりでは、“生活の自立”について、年長ぞう組の遠足の姿から見えたことをお伝えしたいと思います。高井戸西子供園では、毎年、年長組になってひと月ほど経った5月中旬頃に、井の頭自然文化園に行きます。遠足を楽しむ中で、子どもたちは以下のような様々な体験をしています。
○ 自分でできることは自分でする。(荷物を持つ、自分の荷物の 始末をする、お弁当の準備や片付けをする、トイレに行く)
○ 自分の荷物をもって歩く。(往復1時間位)
○ 担任の先生の話を聞いて、指示が分かり行動する。
○ グループの友達や一緒に歩く友達と声を掛け合って集まる。
○ チケットを係の人に渡して乗り物に乗る。(メリーゴーラン ド、コーヒーカップなど)
○ 動物や水の生き物を見て感じたことや考えたことを伝え合う。
○ 公共の施設や場、電車での行動の仕方が分かる。
これらの力は、一朝一夕に身に付いていくものではなく、3歳からの毎日の園生活で少しずつ、身に付いたものです。その力に、“年長組だから、電車に乗って遠足に行く。”という誇りが加わり、行動に繋がっていきます。当日、子どもたちの安全については、十分配慮しましたが、私がぞう組の子どもたちに何かを手伝うことは特にありませんでした。担任の先生の話をよく聞いて行動していたり、お弁当の準備や片付けなど自分で見通しをもって進めていたりする姿を見て、子どもたちの成長を頼もしく感じました。遠足での子どもたちは、動物を見て思い思いのことを話したり、園内の乗り物に楽しそうに乗ったりして、笑顔がいっぱいで、見ている私もしあわせな気持ちになりました。遠足で、共通体験したことは、後日遊びで再現されて、コーヒーカップや新幹線などの乗り物、コウモリのショーの場、モルモットなどの動物コーナー、水の生き物の場などの遊び場ができ、ことり組やうさぎ組を招待して遊ばせてあげていました。
生活の自立は、日々の積み重ねです。関わる大人が焦りすぎず、気長にスモールステップでコツを知らせていくことが大切です。園では、“できた”“できない”ということで判断するのではなく、子ども自身が“自分でやりたい”という意欲をもったり、やってできたという充実感や満足感を味わったりすることを大切に考えています。「一人で着替えたね。」と行動を言葉にしたり、子どもが「先生見て!できたよ。」と言ってきたときににっこりと笑顔でうなずいて子どもの嬉しさに共感したりする援助を心掛けています。子どもたちは、“自分でやりたい”という思いをもっています。そして、やり遂げたうれしさが自信となっていきます。子どもの“自分でやりたい”という思いを大切にし、園とご家庭で連携しながら、そのプロセスを支えていきましょう。それが、子どもたちの自立の一歩となります。